制服すがたの彼に会った。ダークブラウンの夢だった。
夢を、見た。諸事情で昼間から暗くなるまで倒れるようにして眠っていたときの夢だった、もっとも私は大幅にずれ込んでるとはいえ基本的には暗いときに眠り明るいときに起きて活動しているので、きょうみたいに昼間に倒れ込んで夜まで眠るというのはレアだということはいちおうの最低限の私の名誉として主張させてもらおう、リズムはできてるんだこれでも、まあつまりして私は月に二回か三回はうまく眠れない日があってそういう日は一睡もできないしそういう日はだいたい午前中にマストな予定があるということですよ。行ってきた、がんばった、これでも。低レベルすぎるように映るだろうけれども。
うん。閑話休題。
夢を、見た。
ふだんは夢のことなんかあんま覚えちゃいない。記録することもいつしか、やめた。
けど、いまもこうしてときどき、ゆめにっきであればつけてしまうのだよなあ。
だってきょうの夢は彼氏、出てきたのだし。
ああ。懐かしかった。
私の教室、からはじまる。しかしそこは高校ではなく小学校の校舎だ。しかしメンツは高校のクラスメイトたちだ。
放課後。ざわざわ。昼なのに放課後だったってことは土曜日だったのかな。私はこれから部活だ、文芸部。彼氏ともうひとりの当時の男の子の後輩と、私の教室前で合流した。
私も彼氏も制服だった。けど見ためはいまの感じだったかなあ。なんというかおとなになってから懐かしくて制服を着たみたいな感覚が懐かしかった。
ちなみに私の彼氏はリアルに高校の文芸部の後輩です。もうそういうのは関係ないような関係性の域にまで来てるけれどもねー。というか私は高校の制服取ってあるけど、向こうはどうなんだろか。捨てちゃいないとは思うけど。
そんで三人で学食っぽいとこ行く。学食、といってもなぜかカウンターがあって、ラーメン屋みたいだった。なんだか対岸の校舎が窓からクリアに見える。四角い中庭をぐるりと囲むその様相も、やはり高校でなくて私の小学校の校舎だ。
彼氏とはこのときすでにつきあってる設定っぽかった。リアルは違ったんだけどね。けどだからこそあえて真ん中にもうひとりの後輩を挟んで、ふんふんとそのひとの話をお互い聴いていた。
夢のなかでもそういう設定で、夢のなかの設定だと、彼氏は私とふたりだと敬語を使わないのに、食堂ではナチュラルに敬語を使ってきて、おかしかった。
文芸部どうしようねーという話。ひとが来なくなっちゃったよねーと。……それもそういや当時からなんやかんや言ってたことでなあ。
三人で食堂でしんみり。
まあまずは部活はじめようよと、三人で席を立つ。
もうひとりの後輩の男の子は遅れて歩いてるんだか先に行ってるんだか、すこし距離感ができた。廊下を歩きながら彼氏が私に見せてきたのは、
フォントを裏っかえしにして描いたやけにアーティスティックな画用紙の作品。
黄緑色の書道みたいなフォントやら、ピンク色のゴシックやら。
「……え? これ、描いたの? きみが?」
「うん。どう?」
「どうっていうかいや……すごいね。私にはできないよ」
「簡単だよ。○○○○○(なんかコツを教えてくれたような)するだけ」
「やー、だから私にはそれができないんだって……きみはやっぱ視覚情報が強いのなあ」
そんなこと話しながら、なぜか彼氏が92年生まれだと言い出す。私は、えっ、と。いやだって私が92年なんだからきみは93年でしょうよ? と。すると彼氏はなんかひっそり笑って、「いや92年」みたいなこと、言ってた。
あれはなんだったんだろう。夢のなかでもからかわれたのかもしれない、けど彼は意味のないそういうことはしないから、どういう意味だったんだろなあ?
そのあと、当時もそうしていたみたいに、顧問のところに部室のカギをもらいに行って。けど職員室は高校のまんまと違って、木造でレトロで、狭かった。
顧問の先生はいつも通りとても快活でいいひとだったけど文芸部の危機についてはそんなに深刻でなかったな。それも、いつも通り。当時の通り。
そして部活がはじまったあたりで……途切れた。
なんていうか制服すがたの彼とひさしぶりに会ったなあ、と。……夢のなかとはいえそんなのはすごいことだ。私たちは、そんなときに知り合ったのだ。
これからもそういったことはきっとなんどかあるのだろう。
そのことじたいが――きっと、ほんとうに、すごく、すごいことなのだと、思う。
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