第6話

次の日、学校に着くやいなや僕は瑞希さんを外へ連れ出した。

僕らの、僕らだけの世界から、元いたところに戻るための旅へ。


「瑞希さん酷いよ。もっと早く教えてくれたってよかったじゃないか。」


「逆よ?広野くん。広野海くん。海くんが気付くのがおそかっただけ。」



僕は瑞希さんの光る小指に自分の光る小指を重ねた。その瞬間、眩い光に包まれた僕らは全てを思い出した。


*****



「カイ!私聞いちゃった!!」



「なにを?」



「来世でもずっと一緒にいる方法!!」



無邪気に笑うミズキは長老から聞いたというその話をキラキラした目で語った。


シロツメクサの花冠を被って、互いの小指を絡ませながら池の周りを3周する。その後シロツメクサ越しにキスをする。

そうすると、来世で互いは"運命の人"となる。2人が無事出会い小指を合わせ、もう一度シロツメクサ越しのキスをしたなら、前世の記憶をそのままに結ばれる。



「ミズキ、まさかそれ信じてる…??」



「んもぅ。カイと来世でも一緒に居れるなら私はなんでもいいんだよ!」



「…そうだね。僕もミズキにずっと恋してたい。」



恋人同士の僕らは、来世でも恋することを誓った。

だけど、長老の言ったそれにはある弱点があった。


来世で2人が出会える保証はないこと。20歳までに2人がシロツメクサ越しにキスをしなければ、互いの存在が消えてなくなってしまうこと。


とてもハイリスクだと思う。でも僕らはそれにかけた。愛の力とは凄いものだ。



「カイってさ、本よく読むよね?このことを本に残して来世の私たちに伝えられないかな?」



「いいかもしれない。でもそれを言うならミズキは絵が得意だろう?どうせなら絵本にしよう。」



「ふふ、それもいいね。」




*****



「瑞希、こんな近くにいたね。」


「ほんとだよ。」



奇跡だと思った。

いや、それは奇跡以上の奇跡だった。



「まさか来世がこんなに便利な世の中になってるとは思わなかったよね。」


「ほんと。僕らの時代にはテレビすらなかったのに。」



僕が瑞希のことを見えていたと気付いていた瑞希のおかげだ。

やっぱり僕はずっと前から瑞希に恋をしていた。

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