第4話
僕は次の日から小野田さんとともに図書館と家を行き来し、この現象についての原因を探った。
幸い、存在を認識されなくなってきている小野田さんと行動したところで、学校のやつに茶化されることはなかった。
ただ、彼女の幼馴染たちにさえバレなかったのは切なかっただろうなと僕は思う。
かれこれ彼女とは1週間以上行動を共にした。
その間に僕は彼女のいろんなことを知ったと思う。
可愛らしい笑顔と、周りをよく見ている目。気まづくさせない会話能力の高さやふとした時の儚い表情。
気付けば僕は、彼女に惚れてしまっていたのだと思う。
いや、本当はあの公園で会う前から。あのLINEがくるまえから。
この気持ちを認めたくなかっただけなのだ。
でもその気持ちを認めてしまった今。こんな言い方は気持ち悪いかもしれないと自分でも思うけれど、僕はやっぱり
"小野田さんに恋をしている"
でもその感情を自分の中で露わにしていけばしていくほど、不思議な感覚に襲われるのだ。
まるで、僕はこの気持ちをずっとずっと前から知っていたような。
もっと言うと、小野田さんと出会う前から。僕は小野田さんに恋をしていたような気がするのだ。
「広野くん?大丈夫??」
「あー、うん。大丈夫だよ。」
本当に彼女は周りをよく見ている。
「…広野くんは周りが見えてなさすぎる。」
彼女は突然そういった。
後ろめたいことなんて何もしていないはずなのに背中に垂れる冷や汗に焦った。
「ごめんね、気にしないで。
私今日はもう帰るよ。広野くんも早めに帰ってね。」
僕の心を読んでるわけでもないし、僕の声が漏れたわけでもなかった。
ただ、彼女が去った図書室の机の上には1冊の絵本が残されていた。
これを読めばさっきの言葉の意味を理解できるのではないか。
そう思った。
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