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「あれ? そらちゃん……、そらちゃ―ん! そらちゃ――ん!」
「しぃ――――っ!」
「何やってんのん、そんなとこで」
「しぃ――っ、釣りや釣り」「ひなに魚食べさしたろ~思て」
「ほんまに?」
「ま~ 釣れたらやけどな」
「そんなんで釣れんのん?」
「そんなんて……失礼な、この竿朝から作ってんで」
「実はほら! さっき1匹釣れてん」
「うわ――っ! すごいね! そらちゃん」
「串刺されへんほど小さいけどな」
「なんかヌルヌルするね」
「触らんとき、手臭なんで」
「ほんまや臭い! なんなんこのくっさ―い臭い?」
「生は臭いけど焼いたら旨いで! 早よ手洗ろといで」
「おっ! ひな――! 早よ! 早よ! また釣れたで~」
「今度は15センチはあるでホラ見てみ!」
「うわ――すごいすごい!」
「ひなもやるか?」
「やるやる!」
「ここしっかり持ってビクッときたら呼んでや、今から火の用意
するから」
「うん!」
僕は朝から用意していた平板と枝を使い初めての火起こしに
挑戦した。
〈シュシュシュシュ……シュシュシュシュ……シュシュシュシュ…………〉
「あれ? おかしいな、確かこんな感じやったと思うんやけどな~」
〈シュシュシュシュ……シュシュシュシュ……イテッ! しゅしゅ……〉
「どうや? ひな」
「あれ? 火止めたん」
「たぶん市場の火の方がエエと思うねん」
「違うのん市場の火って?」
「まあな…… そ、それよりひな、引いてるで!」
「ほんまや! ゆっくりやで、ゆっくり、そうそうそう、よっしゃ~」
「大きいやん、ひな! 17センチはあるで!」
「すごいな~ ひなは名人やな」
「へへっ……」
「ひな、悪いけどココにある枯葉や木くず袋に入れといて」
「うん、わかった!」
「あ~ それと家にある壺借りるで」
「ええよ!」
「水も入れたし袋詰めも完了、よっしゃ、しゅっぱ―つ!」
僕達はピクニック気分で市場に向かったが実はその後この村に
来て最初のピンチに遭遇する事となった。
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