9-4(46)
「お~い! アキ~ こっち! こっち!」
「あっ! ショ―ちゃん、ちょっと聞いてよ」
「なんだよ、会っていきなり」
「ゲンタの事知ってる?」
「ゲンタってあのゲンタ?」
「そう、あのゲンタがさ~ 最近子分みたいなの引き連れて
えらく調子に乗っててみんな困ってるんだよ」
「困ってるって? どういうことだよ」
「この前もオレの友達の出店にゲンタ達がいきなり押しかけて
大量の果物や野菜をどこかで拾ったような小さなキノコ2つ
と交換しろって脅されたみたいなんだ」
「それで……」
「結局ゲンタの威圧感に押し切られしぶしぶ交換するはめに
なったみたいでオレの友達あまりにも悔しかったらしく泣くき
つかれてさ~」
「それはヒドイな」
「なっ! そう思うだろ」
「ショ―ちゃんの提案で決まった”おでこに札”もゲンタみたいな
ヤツには関係ないて言うかむしろ勲章みたいなもんじゃないの。
だからさ~ どっかに閉じ込めるとか罰与えないとこれからあんな
ヤツ増えると思うんだ、オレ的には」
「確かにアキの言うとおりかもな」
「そうだろ! だからショ―ちゃん何か考えてよ、前みたいに」
「分かった、考えとくよ」
「さすがショ―ちゃん! 頼りになるな~」
「まあな」
「じゃ、よろしく~」
(やれやれ困ったことになったな。でもオレ的には牢屋みたいな
のは反対で……)
「ちょっと!」
「あっ! ごめん、何?」
「何じゃないよ、その石とこれ交換してくんない」
「これはレアストーンだよ」
「分かってるよ、だからこんなに果物持って来たんだよ」
「あれ? キミ顔隠してるけどこの前も来たよね」
「人違いじゃない?」
「いや、絶対キミだ! だってあの時もレアストーンだったから
オレ覚えてるんだ」
「ははっ、バレたか」
「バレたかじゃないよ、当分キミとは交換しないって言ったよね」
「いいじゃんもう1つぐらい」
「ダメなもんはダメなの!」
「なんでダメなの?」
「バランスなんだよ、バランス。分かる?」
「バランス……?」
「つまり一部の人間に高価なレアストーンが集中するとロク
ことにならない気がするんだよ」
「もう少し分かるように説明してよ」
「少しは自分で考えろよ」
「それよりこの果物どうすんだよ、腐っちゃうじゃんか」
「みんなに配ればいいじゃん」
「なんでオレの畑でオレが育てたものをみんなに配るんだよ」
「みんな喜ぶよ~ きっと」
「もういいよ! 他当たるから。オマエって変な奴だな」
そんな捨て台詞を吐きその村人は果物の入った大きな袋
を担ぎながら市場の奥へと消えて行った。
(思えば以前ソラちゃんとレアストーンの話したな~ あっ!
ソラちゃんと言えばこの前この辺で会ったよな……どこで
寝泊まりしてんだろ? また会いたいな)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます