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月末、正式に辞令が発表され、僕は晴れて資料部から企画/開発部に
移動し早一ヶ月が過ぎようとしていた。
そして今月から新たに導入された業務システムにより細分化された
企画グループのリーダーとして慣れないながらも奮闘する毎日。
月に2回開催される本会議では各グループごとに企画発表、プレゼンと
お互い鎬(しのぎ)を削るなどプレッシャーがかかるが、以前と違い
目標が明確なゆえやり甲斐を感じる。
そんな中、僕達の企画がなんと3番手に食い込み、現在進めている
新たな企画と共に試作品の制作等超多忙を極めていた。
「河合さん、試作品の状況はどう?」
「後1週間ほど掛かるみたいです」
「えぇ― 厳しいな……、今から連絡取ってもう少し早めてもらえる
よう言って貰えないかな」
「分かりました」
「悪いけど頼むよ!」
「それと……、藤田さん、ちょっといいかな?」
「何ですか?」
「今進めてる企画の件で私も昨日から類似品検索かけてるんだけど
私だけじゃちょっと不安だから藤田さんも検索お願いしていいかな」
「はい、全然いいですよ! 後で訴訟にでもなったら大変ですもんね」
「そうなんだよね~ ごめんね、忙しいのに」
「宮下さん、一応サンプルデータ取ったんですけど」
「ありがとう、さすが鈴木さん仕事が早いね」
「なんてったって3番手ですから」
「ふっ、そうだよねってこんなにあるの? もう今日は終わろっか、
9時過ぎたし」
「そうですね、あまり詰めすぎてもね」
「良かったら鈴木さん、今から食事いっしょにどう?」
「いいですね~ 賛成、賛成!」
「宮下さん、私もだめですか?」
「いいよいいよ、いっしょに行こ行こ!」
他のメンバーはそれぞれ用事があるようなので鈴木さん、
河合さんと食事に行く事になり帰り支度を終えた僕たちが
3人いっしょにエレベーターに乗り込もうとすると同じ部署の
白川さんに呼び止められた。
「今から皆さん食事行くんですって!」
「は、はい、よくご存知ですね」
「へへっ! さっき聞いちゃった」
「もし宜しければ白川さんもごいっしょにどうですか?」
「いいの?」
「もちろんですよ。あっ! でもお子さんは大丈夫なんですか?」
「今日は私の実家にお泊りなの、だから大丈夫よ!」
「そうなんですか。じゃ行きましょう!」
結局4人で食事という運びとなりグループが違う白川さん
がいる手前仕事の話はNGだが少しずつ社会人らしく
なっていく自分がちょっと嬉しく思える瞬間でもあった。
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