6-2(26)

「はっ!」と気づくと僕は寮のベッドにいた。

 昨夜相当酔っぱらってたのか全然記憶がない。

 ゆっくりベッドから起き上がると頭がズキッと痛む……「イテッ」

完全に二日酔いだ。

 休日だというのに特に予定もなく今日と明日どうして過ごそうか。

 最近の居酒屋通いで金欠ぎみな僕に選択肢は限られていた。

 今から1日半なんとか凌いでも月曜からまた魔の資料部なんて

思うと気が滅入ってしまう。

 ふと時計に目をやると既に12時を回っていた。

 ループライン……今からじゃ時間的に楽しめないし最悪終電に

乗れないかもしれないがなんとも言えないワクワク感が僕を襲う。

 もう一度時計を確認した。

 12時20分か……ん! もしギリギリでも急行に乗れれば 

そこそこ楽しめるかも!

 僕は考える間もなく速攻で支度を終え、コンビニで手当たり   

しだいに食糧を買い込み例の地下街へと向かった。

 到着後、早速路線図を確認すると以前気づかなかったが1番から

4番までの数字が水色になっていた。

「あれ?」

 ふと左下に目をやると『水色=閉鎖中』とある。

 閉鎖? ないって事? まっ、いいか。時間がない僕は急いで 

改札をくぐった。

 え~っと確か内回り、内回りっと……あっ! 急行が停まってる!  

 僕はダッシュで飛び乗るといきなり発車ベルが鳴り響き、すぐさま

列車が動き出した。

 早速車内扉の上部にある路線図を再確認すると15番以降の

停車駅は13番、7番と続き一桁は7番だけだった。

「しょうがない7番にすっか」

 降りる駅を決めた僕はひとまず遅い朝食を取ることにした。

 急いで適当にカゴに入れたせいであまり好きでないアンパン 

を食べながらぼんやり真っ暗な窓を眺めてると列車は24番駅に

到着し中年のおじさんが1人乗ってきた。

 前回のおじさん同様自分の席があるかように隣の車両に移って

行った。

 21番の駅でもおばさんが乗車して来たが、あえて自ら話しかけ 

なかったのはどうしても自力でこの謎を解明したかったからだ。

 しばらくしてそのおばさんは15番の駅で下車予定なのか扉の前

に立ちソワソワしだした。

 若干不安げなおばさんに僕はつい心の中で「おばさん、活気、 

熱気がすごいよ! びっくりしないでね」とリピーター気取りで

囁やいてしまった。

 そんなちょっとした優越感に浸っている間に列車は無事7番駅に

到着し、慣れた様子で改札を通過し階段を駆け上がると今までの

心の余裕が一瞬で吹き飛ぶ光景が目の前に広がっていた。

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