6-1(25)
「おじさ―ん、お酒ひやでもう一杯!」
枡の中の小さなコップにお酒が注がれる。
それをじっと見つめてるとお酒がコップから溢れだし枡の中へ。
こぼれたお酒が会社でいうところこの僕ってか……ははっ。
口からお酒を迎え一口啜(すす)る。
これ何杯目だろう? 同じコップ使ってるから分からんように
なってきた。
「あの~ 今日これで何杯目かなぁ~?」おねえさんに聞いてみた。
おねえさんはすぐさま伝票を確認し「え~っと今のところ5杯目です」
と元気な声で答えが帰って来た。
「そう、ありがとう」
そう言えばこの居酒屋、以前出会い系のパーティーの後に来たよな。
あん時、口も聞いてもらえなかったもんな~。
はぁ~ 僕は枡にこぼれた酒を再びコップに移した。
おっ! ラッキー! 落ちこぼれの僕がまた会社に戻った!
な~んてこと現実にはないよな~ 絶対、ふぅ~。
グイっと2口ほど飲みすすめると聞き慣れた笑い声が聞こえだした。
以前、お見合いパーティーの時と同じ番組だ。
前回同様の男女のホンネみたいな事で盛り上がる中、僕は
初めて訪れた町の会話をふと思い出した。
あの時、カフェでの男女の会話というかホンネみたいなもの
と今流れてるテレビからの情報では大きな違いがあるんだけど
テレビって案外作為的なのかな?
いや違うな、町自体確実に東京ではなかった……だって現に
日本円使えなかったし、電車って言葉も通じなかった。
この前の町なんて警察が廃止されてたんだからそもそも
別世界と考えたほうが正しい。
気になる……と~っても気になる。
初回は15番駅、前回は75番駅。今度もし1桁の駅にすれば
謎だったループラインの秘密が解けるかもしれないな。
「ふふっ…… ちょっと楽しくなってきた」
「すいませ~ん、お酒お代わり下さ~い!」
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