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「おじさ―ん、お酒ひやでもう一杯!」

 枡の中の小さなコップにお酒が注がれる。

 それをじっと見つめてるとお酒がコップから溢れだし枡の中へ。

 こぼれたお酒が会社でいうところこの僕ってか……ははっ。

 口からお酒を迎え一口啜(すす)る。

 これ何杯目だろう? 同じコップ使ってるから分からんように

なってきた。

「あの~ 今日これで何杯目かなぁ~?」おねえさんに聞いてみた。

 おねえさんはすぐさま伝票を確認し「え~っと今のところ5杯目です」

と元気な声で答えが帰って来た。

「そう、ありがとう」

 そう言えばこの居酒屋、以前出会い系のパーティーの後に来たよな。    

 あん時、口も聞いてもらえなかったもんな~。

 はぁ~ 僕は枡にこぼれた酒を再びコップに移した。

 おっ! ラッキー! 落ちこぼれの僕がまた会社に戻った!  

 な~んてこと現実にはないよな~ 絶対、ふぅ~。

 グイっと2口ほど飲みすすめると聞き慣れた笑い声が聞こえだした。

 以前、お見合いパーティーの時と同じ番組だ。

 前回同様の男女のホンネみたいな事で盛り上がる中、僕は

初めて訪れた町の会話をふと思い出した。

 あの時、カフェでの男女の会話というかホンネみたいなもの

と今流れてるテレビからの情報では大きな違いがあるんだけど 

テレビって案外作為的なのかな?

 いや違うな、町自体確実に東京ではなかった……だって現に 

日本円使えなかったし、電車って言葉も通じなかった。

 この前の町なんて警察が廃止されてたんだからそもそも

別世界と考えたほうが正しい。

 気になる……と~っても気になる。

 初回は15番駅、前回は75番駅。今度もし1桁の駅にすれば

謎だったループラインの秘密が解けるかもしれないな。


「ふふっ…… ちょっと楽しくなってきた」

「すいませ~ん、お酒お代わり下さ~い!」

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