4-6(22)

「島田課長――!」


「おっ! 水谷君か、どうしたんだい?」

「ちょっとお話があるんですが……」「ここじゃあれなんで会議室

まで今よろしいですか?」

 私はなかば強引に連れてかれた。


「で、話って?」

「実は宮下の事なんですが」

「彼がどうかしたのか?」

「みんな彼には困ってるんですよ~」

「彼が何かしたの?」

「昼休みになると食堂で誰彼構わずどんな雑用でもいいから

仕事まわしてほしいって頼みまわっててみんなホント迷惑

してるって、課長ご存知ないですか?」

「いや、初耳だな」

「みんな大人だから無下に断らず彼に出来そうな仕事を

与えてるみたいですけど結果は散々で最近では直接開発部に

知育玩具の企画を持ち込んだりしてかなり業務に支障を 

きたしてるみたいですよ」

「へぇ~ あの宮下くんがね……で、肝心の成果はどうなの?」 

「聞いた話では箸にも棒にも掛からないみたいですよ」

「そっか~ やっぱりダメか」 

「そもそも部署を跨ぐなんて彼どうかしてますよ。課長から

ぜひ注意して下さいよ」

「彼は社会人になって2年以上も経つのにまだそんな事に

気づかないヤツなんですよ。だから資料部に移動した今でも

自身置かれてる立場を理解してないんじゃないですか」

「うん、確かにそうかもな」

「彼の為にもはっきりと現状を伝えるべきだと思います」

「……分かったよ。彼の行動に関して私に責任の一端

があるわけで、この件は私が預かるよ」

「助かります。じゃ、私は業務に戻ります」


 はぁ~ 彼に余計な事言っちゃったかな。

 彼には可愛そうだけど今となってはやはりある程度本当の事

伝えるべきだな。


〈ガチャ!〉〈ピッ〉〈ポッ〉……


『あ――もしもし柴田くん、ちょっと宮下くんの件で…… そう、

手が空いたら来てもらえないかな?』

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