第18話 膝枕
午前中は、侑芽が発した爆弾発言によって俺の平穏な生活は失われた。
「たっくん!お昼食べよ!」
「あ、あぁ、すぐ行く」
裕也と侑芽に嫌々、昨日のことを自白させられた俺は、杏奈が来ると中庭に移動した。
「たっくん…何か疲れてる。昨日、やりすぎたよね、ごめんね…」
と杏奈は申し訳なさそうに謝ってくる。そんな姿の杏奈を見て
「いいんだよ、気にしないで…まぁ、程々ならこれからしていいから」
それを聞いて、杏奈はぱぁーと明るくなった。多分、俺は杏奈にとても甘いのだろう。それに、杏奈になら、限度はあれど、甘噛みされてもいいとまで思ってしまっているのだから。
「じゃあ、お昼食べよ」
「うん!今日は、何が入ってるかな〜?」
そんな二人を校舎の壁に隠れ、『チッ!あの一年…』と舌打ちをする者が居たのは、後になってから知った。
「ゆうくん、朝言ってたあれは学校ではやらないから安心して!」
「そう、良かった…」
「うん?もしかして、残念がってる」
「そんなわけないだろ!」
何故だ!?ホッとはずなのに、心の何処かでほんの少し残念がってる自分がいる。…俺は、Mじゃない!
「ゆうくん、やっぱり疲れてる。う〜ん、よし」
「どうしたの、杏奈?」
「ゆうくん…その、疲れてるなら、膝枕してあげるから…ね」
杏奈は、膝をポンポンと叩いて、横になるように言ってくる。
「え、いや、だ、大丈夫だよ」
「たっくんの大丈夫は、昔、無理して倒れた時から信用できません」
「いや、そう言われても…」
「もう、こうなったら…」
杏奈は更に俺との距離を縮めてくる。どんどん顔が近くなる。恥ずかしくなった俺が顔を逸らすと、
「はむ!う〜ん!」
「ひゃっ!や、やめて…」
さっきの約束はどこへ行ったのか、バレないようにこっそりと甘噛みされた。顔を隠しているからみんなには抱きしめられてるように見えるのだろうか?
「やめて欲しかったら、お昼ご飯食べた後にちゃんと休むこと」
「わ、わかったから!もうやめて…」
「うん、よろしい」
俺は、ササッと昼食を済ませ、杏奈の膝枕に頭を置いて休むことにした。杏奈は、優しく俺の頭を撫でた。この暖かい気温とスベスベ肌にドキドキしながらも、俺はゆっくり意識を手放した。
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