第14話 私は、いっぱい甘えたい!

 私は、校門前で学校のみんなが見てる前でたっくんに抱き着いている。それも、たっくんに撫でてもらいながら。私は人生で今が幸せの最高潮なのかもしれないと思う。なぜ、たっくんに抱きつく事を学校の生徒や先生達のいる校門前でやったのには、部活が終わり、たっくんと会うまでの短い時間にあったことが大きく関わっている。


***

 部活を終えた私と七海は更衣室にいた。


(あぁ…たっくんがほっぺを赤くして、『もっと甘えていい』なんて言ってくれた。ほっぺを赤くしてるたっくん…可愛い)


私は、うっとりしながら、たっくんの言った言葉を思い出していた。


「うふふ♪」


「な、何、杏奈?いきなり、笑ったりして」


とクラス委員長の梨沙は、ちょっと引き気味に聞いてきた。


「あ、梨沙ちゃん。だって〜、たっくんがあんな事言ってくれるなんて。あぁ、早く会いたい。いっぱい甘えたい」


「ごめん、何を言いたいのか理解できないわ…。七海、杏奈に何が起きたか教えて?」


「あぁ、それは、彼氏くんがね照れながら『俺にもっと甘えてくれよ』的な事を杏奈に言ったら、それ以降、部活の練習の時以外、ずっとこんな感じになってる」


「そうなの!どんな事をして、甘えようかな〜?」


「なるほどね。まあ、うん、いつもの杏奈を見てたら、なんとなく想像が着くわね。『恋は盲目』て言葉はこういう時のことを言うのかしら」


 と梨沙は少し呆れていた。


「それで、杏奈はどんな感じで愛しの彼に甘えるのかな〜?」


「うーん?とりあえず、いっぱい抱きしめて欲しいから、校門前で抱きつくとか?」


「「うわ…、すごいことするわね…」」


 と七海と梨沙は私でもわかるくらい引いて、全く同じ反応をした。そんなに引く事ないと思うけどな〜。

 それから、話を終えて、たっくんの待つ校門へと向かう。その途中で、また、あの先輩に声を掛けられたらしいが、その時の私は、たっくんにどのように甘えるかを考える頭がいっぱいになっていて気づかなかった。それがあんな事に繋がるとも知らずに…

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