第13話 知らなかった杏奈の悩み
昼休みが終わり、俺が教室に帰ると、
「おい、拓馬! 昼休みのあれはなんだ!」
「渡してたお弁当、あれは鈴木くんが作ったの!?」
と帰ってきた途端に、男女からの質問の嵐が来た。
「あぁ、そうだけど、それがどうしたんだ?」
と軽く流していると「なん…だと!」という声や「いいな〜」という声が俺が聞き取れた範囲でも多く聞こえた。
一方、杏奈は教室に戻ると、
「杏奈! 昼食のお弁当って、もしかしなくても…?」
「うん、そうだよ! たっくんが作ってくれたの!いいでしょ〜!」
と私はたっくんとの昼食の時のことを自慢する。その声に
「確かに、料理の出来る男子はモテわね」
「そうだよね! カッコイイよね! ね!」
と料理の出来る男子がカッコイイという話で女子は盛り上がり、男子は『料理出来るとモテるのか!』『よし、これから俺も料理しよう』話で騒がしくなった。
***
午後からの授業も終わり、あとは放課後の部活だけとなった。
「ねえ、杏奈。最近、あの先輩またしつこくなってない?」
「まあ、鬱陶しいなって思うよ」
と白井先輩が心配そうにしている話が聞こえた。
「何があったんですか」
俺は、無意識に二人の会話に入ってしまった。俺が聞いている事を知った白井先輩は「杏奈、言ってなかったんだね」と言った後、杏奈が少し前から困ってることについて教えてくれた。
「えっと、これは杏奈が言うべきことかもしれないけど…杏奈に告白して振られたのよ」
なるほど。大体予想がつき、俺はその予想を口にする。
「つまり、3年生の先輩は未練があるってことですよね」
「簡単に言えば、そう言うこと」
と白井先輩は言った。本当に迷惑な先輩も居たものだ。
「心配しなくても大丈夫だよ、たっくん。今のところ、特に害はないから」
「それならいいけど、なんかあったらすぐ言ってよ。それと、その、もっと甘えていいからな…」
と伝えて、俺は部活の練習に戻った。戻りながら、自分が言ったことに対して悶絶するのだった。
***
「たっくん〜、今日も疲れた〜」
と杏奈は言いながら珍しく抱き着いてきた。杏奈を抱き止めた俺は少し頭を撫でて
「たしかに最近大変だったからね、お疲れ様」
「気持ちいぃ、もっと撫でて」
(何故だろう?昨日はみんなが見てるところではこんな甘えん坊な姿は見せてなかったと思うんだが…もしかして、さっき部活の時、言ったのが原因かな)
「杏奈、その、みんな見てるから…その、二人っきりの時にしよ」
杏奈は、顔を赤くしながら、
「帰ったらいっぱい、甘えるから覚悟しててね!」
とちょっと小悪魔っぽい笑顔で笑った。
_____
読者の皆様
皆様、お久しぶりです。しまドンです。最近は、読むことが主になっていた私ですが、また書きたい欲が出てきたので、執筆を少しずつですが再開しています。あまり、ストックはないので投稿頻度は遅いと思いますが、頑張るので応援お願いします。
今後とも、「初恋相手が彼女(彼氏)になりました!?」をよろしくお願いします
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