第12話 彼女へのお弁当
教室に入ると
「おはよう、拓馬。」
「おう、おはよう。裕也、侑芽」
といつも通り、裕也と侑芽の二人と話していた。
「あ、そうだ。今週末、行けることになったぞ。それに、二人のことも伝えといた。それでどこ行くんだ?」
「ああ、定番ではあるけど映画にしない?」
「今回は、二人に任せるよ」
「それじゃあ、映画で決まりだな。先輩に伝えといてくれよ、拓真」
「了解」
と話しているとチャイムがなり、ホームルームが始まった。
_______
一方、杏奈は七海達に今後のことについてひたすら聞かれていた。
「ふーん、日曜日デートなんだ。それは、ニュースだね」
とニヤニヤする七海と話していると、それを聞いたみんなから質問攻めに合うのだった。でも、チャイムが直ぐになり、質問攻めはまた後になった。
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昼休みになり、杏奈の教室に向かっているとこの前、杏奈に絡んでいた先輩がいた。今、絡まれると絶対に面倒になると判断し、さっさと教室に行くことにした。
「杏奈、お昼食べよ」
予想はしていたが、男子には睨まれ、女子にはニヤニヤしていた。
「うん、今行く〜!」
と杏奈は言って、駆け寄って来た。
「昨日と同じ場所で良い?」
「うん、いいよ」
と中庭に向かい木の影があるちょうどいい席に座って食べることにした。
「はい、これが杏奈の弁当」
「ありがとう、たっくん!」
と言って、幸せそうな顔で弁当を受け取った。
「「いただきます」」
と言って、弁当を食べ始めた。
「すっごく美味しい!」
「それならよかったよ」
と言って杏奈は幸せそうにお弁当を食べていた。俺は、その表情を見て、ホッとしていた。近くにいた女子が「あれ見て、杏奈が彼氏からお弁当貰って食べてる!それって、もしかして、彼氏の手作り!」と言う声がして、2人揃って顔を少し赤くしながら、昼食を食べていた。
「ねえ、たっくん」
「ん? どうしたの?」
「その…あ、あ〜んしてあげる」
「えっ! じ、じゃあ、お願いします」
「それじゃあ、あ〜ん」
「あ、あ〜ん」
ヤバい、恥ずかしすぎる。周りからは、「キャー!」とか「ヒューヒュー」という女子の声や「羨ましい」という男子声が聴こえる。
「美味しい?」
彼女がいる食べさせてもらうのは、こんな幸せを感じるのか。だって…
「うん、いつもの何倍も美味しい…です…」
全身が熱い、それに杏奈の可愛さも倍増しててヤバい!
「たっくんも…して」
ワガママな杏奈も可愛い!って違う違う今はそうじゃなくて、
「う、うん。それじゃあ、あ、あ〜ん」
「あ〜ん」
「どう?」
「美味しい! さっきよりも、もっと美味しい!」
とお互い食べさせ合うという、2人だけの世界に入り浸っていると、昼休みは一瞬で過ぎていった。
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