第11話 鈍感と言われた兄・お迎え

「ただいま」


「お帰り、お兄ちゃん。それで、いつから付き合いはじめたの? 杏奈さんと」


 と帰ってきて早々に唯香が聞いてきた。


「ん? あぁ、昨日からだけど?」


「へぇ〜、我が兄ながら隅に置けませんな」


 とニヤニヤしながら言ってくる。その後も、唯香からの質問は止まらず、夕飯を作っている時ですら質問に答える事になっていた。

_____

「なるほど〜、杏奈さん一途だよね。よかったね! 鈍感なお兄ちゃん」


「もしかして、杏奈が俺を好きってこと知ってたのか!?」


「まあね。お兄ちゃんのこと色々聞いてくるから好きなのかなって思って聞いてみたの。その時の杏奈さんすごく顔を赤くしながら、頷いてて、ちなみに聞いたのは私が中学校に入ったばかりの時ね」


 という話を唯香から聞いたりした。こんなことなら、もっと早く告白すればよかったと思ったが、今になってはそんな事なんてどうでもいい。だって、もう付き合ってるんだから。


__翌日__

「ふぁ〜、そろそろ起きないとな」


 まだ少し眠いが今日は3人分の弁当も作るから少し早く起きないと時間が足りないかも知れない。


「よし、朝ご飯の準備しないと」


 朝ご飯はトーストでいいかな、弁当には炒め物に、昨日、作ったトンカツと一緒にキャベツの千切りを少し、最後に今、作ってる卵焼きを入れれば…


「よし、今日もいい感じにできた。そろそろ、唯香起こさないと」


 俺は、台所に3つの弁当を置いて、唯香を起こしに行った。


「唯香〜、朝だぞ、起きろ〜」


「う〜ん、おはよ、お兄ちゃん」


「おはよ、珍しく早かったな」


「偶々だよ。ん? ねえ、お兄ちゃん、なんで今日は3つも弁当があるの?」


 そういえば、昨日、唯香には言ってなかったな。


「ああ、杏奈の弁当も作ったからだな」


 というと唯香はニヤニヤしながら、準備を整え、朝食を食べ始めた。そして、俺も朝食を食べ始めた。

 朝食を食べながら、テレビのニュースを見ていると、近くで痴漢があったらしい、まだ犯人は捕まっていないらしい。まあ、杏奈には俺がいるから問題ないが唯香は、大丈夫だろう。ニュースも一緒に見てるし、油断してるように見えても危機管理能力は高かったりする。

 ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。


「はーい、すぐ出ます」


 と言って玄関に向かったら、すでに唯香が出ていて杏奈を玄関の中に入れていた。


「おはようございます、杏奈さん」



「おはよ、杏奈」


「おはよ、たっくん、それに唯香ちゃんも」


 今日は昨日より準備が早く終わっていて唯香は杏奈と話せて嬉しそうに学校に向かって行った。それを見送って俺と杏奈も学校に向かった。


_____

「今日は俺が杏奈の教室に行くよ」


「うん、わかった。待ってるね」


 と言って、俺と杏奈はそれぞれの教室に向かった。

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