第10話 彼女の家にて

「それじゃあ、またね」


と杏奈を家まで送り届けて、帰ろうと思っていたら


「あら、お帰りなさい、杏奈。それに拓馬くんも」


「ただいま、お母さん」


「こんばんは」


と杏奈のお母さんに会い、すぐに帰る予定が「入っていきなさい」と言うので、杏奈の家にお邪魔することになった。杏奈のお母さんが名前で呼ぶのは苗字が同じ人がいるから名前で呼ぶようになった。


「お、お邪魔します」


「いらっしゃい、たっくん。着替えてくるからリビングで待ってて」


と言って杏奈はタタッと嬉しそうに部屋に戻っていき、俺はリビングでお茶をもらうことになった。


「はい、どうぞ」


「ありがとうございます」


「それで、杏奈とはどんな感じなの?」


「どんな感じとは?」


と聞き返すと杏奈のお母さんはニヤニヤしながら


「最近、杏奈がやけに機嫌がいいと思ったら、拓馬くんと二人で帰って来るみたいだったから付き合ってるのだと思ったのだけど、どうなの?」


「あ、は、はい。お付き合ってます」


「やっと、あの子にも春が来たのね!」


と杏奈のお母さんはウンウンと頷きながら嬉しそうに笑っていたら


「おまたせ、たっくん」


と私服に着替え来た杏奈がリビングまで降りてきた。杏奈の格好はショートパンツに、生地が薄めの長袖の服だった。か、可愛すぎる!


「杏奈、付き合ってるならもっと早く言いなさいよ」


「たっくんから聞いたの? まあ、いいけど」


「じゃあ、ゆっくりしていってね」


と杏奈のお母さんは言って、夕食の支度を始めた。


「たっくん、私の部屋で話そ」


「あ、うん。わかった」


 ヤバイ、ドキドキが止まらねえ。妹以外で初めて女子の部屋に入ることがここまでドキドキするとは思わなかった。


「ジロジロ見てないで、早く入ってよ」


 と恥ずかしそうに杏奈が言う。杏奈の部屋は整理整頓してあって、勉強机の端には小学校の運動会で撮ったツーショット写真が置いてあった。


「この写真、運動会のテントのところで撮った写真だよね」


「そうだね、懐かしい。あの後、たっくん周りのみんなから色々聞かれてたね」


 杏奈は昔からモテていた。だから、杏奈が「二人で写真を撮りたい」とクラスのみんなと話していた俺のところに来て言った時、男子には睨まれ、女子はニヤニヤしながら見られていた。


「写真撮った後からは本当大変だったな…」


 まあ、今ではいい思い出だ。こんな懐かしい話などをしていたら、唯香から電話が来て帰ることにした。


「それじゃあ、お邪魔しました」


 と言って俺は家に帰った。

_____

読者の皆様へ

 10話の投稿がとても遅くなり本当にすみませんでした。

 今回、ここまで投稿ができなかった理由は、僕は大学生です。そして、後期の勉強について行くことに手一杯になってしまい続きの物語を書く余裕がなかったからです。

 今後もこのようなことがないとは言い切れませんが、今回のようなことにはならないように頑張りたいと思います。

 これからも、応援していただけると嬉しいです。

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