第4話 それぞれの家で

拓馬は杏奈を家まで送り届けた。


「じゃあ、また明日ね」


「ああ、また明日」


と言って、拓馬は家まで帰った。


---

「ただいま」


「お帰り、お兄ちゃん」


「ああ、ただいま、唯香」


俺には二つ年下の妹がいる。名前は鈴木 唯香。成績優秀、運動もそこそこできる。そして、なんと言っても顔立ちとスタイルが杏奈に引けを取らないくらいとても良い。俺にとっては羨ましい限りだ。


「お兄ちゃん、今日、なんかいいことあったの?」


「い、いや別に何もないけど」


「嘘はダメだよ、お兄ちゃん」


「お、俺が嘘なんてつくわけないだろ…」


「お兄ちゃんは、嘘つく時絶対、手を頭の後ろにするから嘘ついてるのバレバレだよ」


「な!」


「それで何があったの?」


杏奈と付き合ってることは唯香には言えない。だって、言ったら一瞬で色んな人に広まる。流石に杏奈の許可なしには言うことはできない。


「はぁ、確かにいいことはあったよ。その内容はまた今度な」


と言って唯香は納得してないようだったが、渋々引き下がった。


「そういえば、母さんはまだ帰ってないのか?」


「今日は遅くなるって」


俺の両親は共働きで二人とも遅くに帰ってくることは多いほうなので夕食は俺と唯香で一緒に作ることが多い。ついでに朝は俺が起きた時にはもういないので朝食、昼食は、大体俺が作ることになっている。何故かって、それは唯香が朝にとても弱いからだ


「それじゃあ、唯香は何食べたい?」


「ん〜? なら、ハンバーグ食べたい!」


「了解。必要な食材もあるし作るか。俺は野菜切ったりするから、唯香は肉を解凍しといてくれ」


「わかった」


と夕食を作り始めたのだった


***

一方、杏奈はというと、


「ただいま、お母さん」


「お帰り、杏奈。さっき一緒にいたのは確か鈴木君よね」


「うん、そうだよ」


「何かいいことでもあったみたいね」


「まだ秘密。…なんで、もうすでに知ってますよって顔してるの」


「仕方ないでしょ、顔の表情でわかるもの」


「誰にも言わないでよ」


「はいはい、わかってるって」


不安を拭えないまま杏奈は部屋に戻った。そして、すぐにスマホを手に取り、恋人である拓馬の連絡先を眺めながら今、何してるだろうと考えていた。

同じ頃、拓馬も杏奈が今何をしているのか考えていた。

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