第99話 倍速視聴? ギターソロ飛ばし? これだから今時の若者は!

 よう、古城ろっくだ。

 今日のBGMは……そうだな。なんとなくだけど、オジー・オズボーンのクレイジートレイン。

 この曲のイントロ、F#マイナーで始まるヘヴィなメロから、Aメジャー主体のカッティング入るのが何とも美しくて弾きごたえのある素晴らしき……

 え?「ごたくはいいから本題に行け」って?

 はいはい。せっかちだな。さては君たち、Z世代か?




 まあ、冗談はさておき本題。

 今日は、我々のような平成初期に生まれた人間には分からない新世代『Z世代』の生態について調査した結果を纏めてみようと思う。

 おもに平成時代の中期ごろに生まれた世代の事だ。

 よくツイッターなどで「いきなり終わりを意味する『Z』の文字を当てるなんて、次の世代の名前を考えないネーミングだ」などと批判されたりするが、大丈夫だ。

 ガンダムだってZが2作目だったが、その後ZZとか逆シャアとか続いたからな。ドラゴンボールだってZの後にちゃんとGTとかやったし。


 さて、このZ世代とやら、マスコミやネットニュースなどがどうしても「今はコスパよりもタイパ」って結論ありきでいろいろ調査しているみたいなので、せっかくだからその辺を掘り下げてみようと思う。

 よく言うのが、「若者は映画を倍速で視聴する」ってやつだな。なんでも時間がもったいないらしく、2倍3倍の速度で見ることがトレンドらしい。

 ……これ、本当かどうかネットの反応をつぶさに観察してみたんだが、「倍速再生なんかダメだろ」とか「いや、倍速再生を理解できない大人は老害だ」とか言ってる老人たちが確認できただけで、当事者である若者の声はほとんど聞こえてこなかったんだよね。

 せいぜい数件程度「いや、映画はゆっくり見るよ」という若者や、「そもそも映画なんか見ないんだけど」という若者を観測できた程度で、データと言うには少なすぎる結果しか得られなかった。

 ちなみに劇場で新作を見るのは未だに映画好きのトレンドらしい。もちろん劇場で倍速上映はされていないので、やっぱ標準速度で(もっと言えば、劇場までの移動時間までかけて)見に来る若者も多いみたいだな。……少子化も相まって割合は少ないが。


 ああ、あと何だっけ?ギターソロを飛ばすとか飛ばさないとか。

 これに関しては、僕の方に結構な数の『年寄りの話』が寄せられている。若者の話を集めることはできなかったが、こちらはしっかりと結論を述べられるぞ。

 結論から先に言おう。「そんなもん若者に限らん」である。

 何なら、50代以上の爺さんの方が若者よりよほどギターソロを飛ばす。ギターソロなんて、バンドブーム世代のアラフォーさんたちの一部が聴いてくれる程度だ。

 ライブなんかやっても、歌が終わった時点でアウトロの最中であるにもかかわらず拍手喝采なんてことはよくある。そのまま幕まで閉じられる。なんなら時間の都合で間奏を短くすることも多い。

 昭和の歌番組なんて、イントロが始まってから歌手の紹介をかぶせてたからな。それに比べたらちゃんとMCを済ませてから演奏が開始される令和の時代はまだいいものだ。

 アマチュアとはいえ演奏者の一人として言うが、Z世代の若者の方がギターを聴いてくれる。




 まあ、あれだ。

 よく考えたら、「今時の若者は~」ってセリフから始まる言葉に信憑性などあったもんじゃない。

 僕らが若い頃もよく言われたもんだよ。「今の若い子は運動もしないで家でピコピコ(ビデオゲーム)ばっかり」ってな。

 いや、まあ僕もゲームボーイくらいは持っていたけど、同級生にはゲームに興味のない子もいっぱいいたし、そもそも僕をしても一応スポーツ少年団に所属してたんだけどな。

 あの頃は「大人ってやつは勝手な決めつけで子供たちを見下す人が多い」と思っていたし、当然「こんな大人にはならないぞ」と決めていたんだが、

 ……どうやら悲しいことに、僕も立派に「なりたくない大人」になりかけていたようだ。


 大人になって良かったことが、ひとつだけある。

 それは、子供にも色んな子がいるように、大人にも捨てたもんじゃない大人がいると気づけたことだ。

 上の世代にしても下の世代にしても、偏見で物を語るのは良くない。しかし自分たちの理解を超えた行為をする人が一人でもいると、それが「その個人の行為」ではなく「その世代の標準的な行為」だと誤認することはよくある。

 せいぜい「そんな人も増えた」程度だと思っておくのが丁度いいのかもな。


 あ、でもさ。全員に当てはまる真実もある。


 令和生まれって、どいつもこいつも小学生未満の奴ばっかりだよな。

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