第89話 マルチタスクの仕方について

 よう、古城ろっくだ。今日は懐かしいことに、涼宮ハルヒのGod knows...を聴いてる。

 この曲、実は僕が初めてギターで弾きたいと思った曲だ。ついでに言うと、ベースを始めた時もこの曲から着手し、ドラムもこの曲から練習を始めた。(その都合、ボーカルを除く全パートが大体できる)

 CDだって2枚持ってる。あ、最初に発売された恋のミクル伝説を収録したシングル『涼宮ハルヒの詰合』と、それからENOZのミニアルバムな。

 いやー、劇中では長門が弾いている設定になっているギターソロなんだが、実はあまり正確なメカニカルフレーズとは言えず、結構ランダム性の高いソロになっているんだ。極端な話、だいたいスケールを外さなければ成功と言える。

 楽しんで弾いている感じがサウンドから伝わってくるんだが、まあ長門に限ってそんな感情を理解――まして自ら発生させることなんかあるか?と、そう思っていたら翌月には涼宮ハルヒの消失だろ。ありゃ驚いたね。まあ、ぶっちゃけた話をすればギタープレイヤーの手癖なんだろうとは思うが、あのフィンガリングをアップのシーンだけでも忠実に描こうとした京アニの挑戦のおかげか、長門の白くて細い指がSGギターの黒いピックガードに映えて……


 え?そろそろキショい?

 ああ、そうか。すまん。本題に行こう。




 さて、本題。

 今日はマルチタスクについてだな。


 マルチタスクとは、並行して二つ以上の作業をこなすことである。例えば音楽を聴きながら小説を書くとか、アニメを見ながら楽器を弾くとか、Vtuberの配信を2窓3窓しながらスパチャを打つとかがそれに当たる。

 え?「古城ろっくはそれが出来るのか?」って?

 いや、正直言うと苦手なんだ。小説を書く時は必ずBGMが無いと気分が進まないんだが、一度でも小説に没頭すると音楽なんか耳に入っていないことはよくある。逆にすぐ執筆をやめて聴き入ることもあるよ。つーかそっちの方が多い。


 ところで、君はマルチタスクが得意かな?

 得意な人も苦手な人も、それに関する考え方が変わるかもしれない。そんな話を今日はしていこう。


 ドラムの基本的なフレーズで、こう……

『ドン ツッ タン ツッ ドン ドン タン ツッ』

 というような流れを繰り返すフレーズがある。これを詳しく解説すると……

 使うのは右脚と、それから左手と右手だけだ。左手を、向かって正面の『スネアドラム(小太鼓)』に向けてくれ。そして右手を、一番左にあるシンバル『ハイハットシンバル』に向けて……そうそう。腕が交差する感じだな。

 右脚は『バスドラム(大太鼓)』に接続された、キックペダルの上に乗せてくれ。そのまま踏みつけると、バスドラが音を立てる。

 今回はその3つしか使わない。ので、いちいち右手をクラッシュシンバルに移動させたり、左足でハイハットを開いたり、左右の手でタムタムをロールするような複雑な動きは無しだ。固定でいい。


 基本姿勢は出来たかな?

 そしたら、右手でずっと『ツッツッツッツッ』と繰り返しながら、右脚で『ドン』左手で『タン』を入れてみてくれ。

 何となく文章に起こすと、こんな感じだ。


右手『ツッ ツッ ツッ ツッ ツッ ツッ ツッ ツッ』

左手『―― ―― タン ―― ―― ―― タン ――』

右脚『ドン ―― ―― ――ドン ドン ―― ――』


 フォントや組み方によってはズレて見えるかもしれないが、だいたいこんな感じだ。この3行の行為を、並行して同時にやってもらう。

 ――と、そう説明されてできる人は、マルチタスクが得意な人だ。おめでとう。

 で、出来なかった人はマルチタスクが苦手な人なんだろうけど、安心してほしい。シングルタスクでもドラムは叩ける。その方法も紹介していこう。


 まあ、やること自体はさっきと一緒なんだけど、今度は楽譜に対する考え方を変える。

 まずは、そうだな……右手のハイハットシンバルと、右足のバスドラムを同時に鳴らしてみてくれ。


『ドン』

『ツッ』


 出来たかな?

 そしたら次は右手だけだ。


『ツッ』


 これは簡単だな。次は右手と左手だ。ハイハットとスネアを同時に鳴らす。


『タン』

『ツッ』


 オーケー。オーケー。良いじゃないか。それじゃあ、この3つのパターンに、それぞれ名前を付けよう。1番目のパターンが『手足』だ。2番目のパターンが『右手』。そして3番目のパターンが『両手』だな。

 これを、1.2.3.2.1.1.3.2.の順番でやっていこう。

 いいか?一行に書かれていることを『同時に』やるんだぜ。同じ行を『左から順番に』ではなく、『左から右まで同時に』だ。


手足『ドン    ツッ』

右手『      ツッ』

両手『   タン ツッ』

右手『      ツッ』

手足『ドン    ツッ』

手足『ドン    ツッ』

両手『   タン ツッ』

右手『      ツッ』


 焦って早くやろうとしなくていいよ。最初はメトロノームも要らないから、一行一行を大切に、シングルタスクで叩くんだ。


 ――と、これなんだけどさ。結局慣れてくると簡単にできるようになるし、行きつく先は同じなんだよね。

 マルチタスクってのも同じようなところがあってね。例えば同時に二人以上の話を聞いているように見える人って、実は片方の話に耳を傾けて、そっちの話の要点が分かったところでもう片方に切り替える。ってことをやっている場合があるんだ。


 つまり、世の中の『自称マルチタスクが得意な人』の中には、いくらかの割合で『実はシングルタスクをスピード処理していただけの人』がいるって事だね。

 速読が得意な人が『実は3行づつ読んでいた』なんて話はよく聞くけど、今回はその逆。『実は1行づつでも要点を掴んで読めば早く読める』なんて話だ。




 さて、次回はバニーハルヒのタイツについてでも語ろうか。僕の趣向で言うなら、レオタード自体が黒なんだからタイツはデニール数を落としてもいいと思うんだよね。なんなら網タイツこそ至高だと思うわけで……

 え?既にキショい?

 なんじゃい全く。インターネット老人会の年寄りをいたわらんか。もー。

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