第68話 小説で大事なのは内容じゃなく、売り込みの方法だ

 よう。古城ろっくだ。今日も今日とて、個人的な話をしていこうと思う。

 その前に乾杯だよな。な?

 今日は檸檬堂のカミソリレモンを、ホームランサイズで用意してみた。こないだストロングゼロを褒めちぎった後でアレなんだが、こちらもレモンの香りと、それに負けないアルコールの強さが良い感じだ。

 裏技かもしれないけど、ちょっと塩を加えると美味しい気がする。缶の淵に軽く塩を塗って飲むのとか、なんか好き(笑)

 あ、そうそう。500mlのことを『ホームランサイズ』って呼ぶのもなんかお洒落だよな。何だろう?この昭和レトロ感……




 さて、本題。最近の僕なんだが、小説の方の執筆が止まっている。……いや、書くのが嫌いになったわけじゃない。ただ、ちょっとママチャリ無双の続きを書く前に、整理したいところが山積みになってな。

 要するに、過去作を振り返っていた。


 いやー、まるでゲームの2周目プレイの計画を立てている気分だ。前回のクリア特典を引き継ぎつつ、前のルートでは見られなかったシナリオ分岐を探す。ついでにダンジョンの見落としてた部屋とか、アンロックしなかった要素も拾いたい。

 ゲームが繰り返し楽しめるように、小説もまた何度か読み返すことで気づくことがあるもんなんだ。特に作者側は楽しいぞ。自分でルートを無限に分岐できるんだからな。

 ……ちょっと小説書くのが楽しくなりそうだ。ガラじゃないんだが。




 ん?「具体的にどの辺が分岐点か?」って?

 そーだなー。まあ、これに関しては直すかどうか分からないんだが、『チャリチャン』と『スポはじ』の関係性とかな。

 以前、作家仲間に言われたんだけどさ。「チャリチャンは主人公の成長が早すぎる」らしいのよ。素人だったはずの空君が、3話目くらいで急に自転車に詳しくなっているように見えたらしい。

 それに関して、僕から言えることとしては「いや、そのくらいの読者レベルを想定していたから仕方ない」って回答だけなんだけどな。

 コンセプトとして『チャリチャン』は、「既に特定の自転車が好きな人間に、他の自転車の魅力も知ってもらって、より自転車の楽しさに気づいてほしい」が根底にあったわけだ。


 まあ、「すべての自転車乗りに捧ぐ」と語ったことがあったかもしれないし、「ママチャリにしか乗ったことのない人でも楽しめる」と言ったこともあったと思うんだが、そこで僕が言う『ママチャリ乗り』っていうのは、君たちに分かりやすく言うなら『ママチャリマニア』だったわけだ。

 唯一の誤算があるとしたら、日本でママチャリを好きな奴がほとんどいなかったってところだよ。僕はてっきり、ママチャリに乗ってる連中はママチャリ大好きなんだと思ってた。

 さすが経済大国日本だけあって、みんなリッチだよな。最低でもお値段5桁からの車体を、好きでもないのに購入して、歩いていける距離を移動している。リッチすぎて溜息が出るぜ。

 ――ってなわけで、当初は『チャリンコマンズ・チャンピオンシップL』というタイトルで、「チャリチャンのLight版」という位置づけにして書き下ろしたのが『スポはじ』だったんだがな。

 むしろこっちの方が高ポイントを獲得した。驚きだ。

 こうなると、僕の市場リサーチと実際の市場が噛み合ってないのは致命的だった。


 もし僕が同じコンセプトでこの2作を書き直すなら、むしろ『スポはじ』を本編にして、『チャリチャン』をその番外編かアフターストーリーとして描く方法を取るだろうな。

 具体的には、チャリチャンの主人公を空君ではなくアキラ君にして書くわけだ。あるいは、空君を主人公にしてスポはじと同じ内容を書き直すわけだな。同一の主人公を使い、あくまでチャリチャンの方を番外編とすることで、読者の誘導を楽にするわけだ。


 ――とかな。同じ内容でも組み立て方や想定する読者層の数を計算するだけで、違ったジョイントの仕方が思いつくわけだ。

 いやー、でもこれも僕は確信を持っているんだが、『自転車が好き』な諸君に問う。チャリチャンは、面白かっただろう?……うん。君たち向けに描いた作品だからな。そりゃそうだ。

 そしてスポはじを読んでくれた『特に自転車に興味が無かった』諸君にも問う。スポはじは、面白かっただろう?……まあ、要するにあの2作は、それぞれ単品だとコンセプト通りに機能しているんだよなぁ。やっぱり。

 最大の問題点は、両方を書いた作者は真実を知っていても、片方だけ読んだ読者はその真実を知らないところだ。まあ、だからこうしてお伝えしている(笑)




 ん?ああ、『ママチャリ無双』か?

 そっちも改善の仕方が見えてきた。あの作品は割と『ユイちゃんのキャラありき』で成り立っているところが大きい。あの子の可愛さと面白さのどっちにも振り切れる設定は強力だ。

 ただ、そのユイちゃんに対する思い入れが、作者と読者の間で共有できないのは致命的かもしれない。

 僕から見たユイちゃんは『チャリチャン』『スポはじ』『ママチャリ無双』の全ての作品に登場した馴染みのキャラだ。しかし新規読者にしてみれば、まだ馴染まないキャラだったよな。

 なのにいきなり当然のように活躍するというメアリー・スー感は否めない。しかもこいつ、一般的なメアリー・スーチェックをすり抜けるステルス性まで持ち合わせていたんだ。僕にとって彼女は、憧れの対象でも似ている存在でもないからな。

 なるほど、なるほど――


 いっそ全編を書き直して、九条を主人公にでもするか、あるいはユイちゃんの一人称視点で構成し直すか……などと思ったんだが、それをしてしまうとプロットから崩れる大幅な改造が必要なことも判明した。


 よし。なら書くべきは『第0話 プロローグ』だ。

 読者にとってユイちゃんが馴染みのないキャラなら、馴染ませてしまえばいい。九条君とかイアちゃんとかは、その後でゆっくりご登場いただくとして、だ。

 ただ、『第0話』とか『プロローグ』と書くと十中八九読み飛ばされるらしいので、全章&全話数のナンバリングをずらしていくことになると思う。……すっげぇ地味な作業だなぁ。

 まあ、やってみるさ。

 まだ読んでないって人は、ちょっと待っててくれ。今すぐ読むより、改稿が終わってからの方が楽しめるように作るつもりだ。へっへっへ。


 じゃ、僕は執筆に戻る。息抜きに付き合ってくれてありがとうな。

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