第66話 主人公に共感しない!? 全く新しい俺tueee自転車小説を多分書かない

 よう、古城ろっくだ(小声)

 今日は、耳かきASMRを聞く実況を、してみたいと思う。つまり、耳かき音声を聞くのは君たちじゃない。僕だ。

 諸君らはイヤホンつけた僕の独り言でも聞いていたまえ。君たちが耳かきされるのではない。耳かきされる僕をそこで眺めていればいいのだ。はっはっは。

 こういう動画は音量が小さいのが相場だからな。ちょっと高めにして聞いていくぞ。それではyoutube君、始めてくれ。


 あ……


 ちょ、そんなっ。


 え?うそでしょ――そんなおっきいの、入らないよぉ。


 いきなりそんなっ――









 いきなりそんな大音量で広告流すなぁぁぁああああああ!!


 くっそ。youtubeの仕様に殺されるところだった。何なんだあの中華系クソゲー広告!? 小学校の算数ドリルに安っぽいフラッシュアニメーションつけたような、次世代型デジタル夏休みの友のことだよ。誰が好んでやるんだあんなの。

 しかも15秒フルで飛ばせない仕様かよ。せめて5秒でスキップさせてくれ。

 あーあ、しかも主人公やられてんじゃねーか。何であんな簡単なステージでてこずってるんだよ。馬鹿か。僕にやらせろ。一発でクリアしてやる!


 ……それにしても、1年くらい前までは『主人公がどんどん都合よく勝っていくだけのヌルゲー』って印象だったのに、最近は『そのヌルゲーでさえ死ぬクソザコ主人公』が増えてきたなぁ。

 そりゃ「僕にやらせろ」とか言いたくなるってもんd……ん?


 ……ハッ!そうか!!

 すまんな動画の中の美少女さん。耳かきはまた今度だ。君の膝枕にもう少しだけ頬をうずめていたいが、それよりカクヨムにアクセスするぞ。おっぱいマウスパッドに右手首をうずめる時間だ。




 待たせたな。「さて、本題」ってやつだ。

 一見すると何年経っても進化しないように見えるなろう系小説だが、じつは細かいところに注目するとブームは変わってきている。変わらないところもあるけどな。

 例えば、かつては『主人公が俺tueee!!ムーブで成り上がる』が基本だったんだが、いつの間にか目的が『復讐』に変わり、今では『主人公自身は何もしないけど、その裏で悪役がいつの間にかボコボコにされる』という、いわゆる『ざまぁ系もう遅い構文』が流行りになっている。

 まあ、いつの世も『読者は主人公になった気分でスカッとしたい』って部分だけは変わらないな。これはなろうが流行るよりずっと前からだ。


 要するに、1、2年前の中華系クソゲーのCMみたいな流れがあったわけだ。


 ただ、そろそろなろう読者も『もう遅い』に飽きてきている頃だろうと思う。カクヨム民に至っては飽きる以前に流行ってない。たまにランキングにいるもう遅い作品を書いているのは、カクヨム民ではなく旅行に来たなろう民だ。

 そこで、次にブームに火をつけるのは何なのか。

 もしかしたら、その中華系クソゲーのCMのような『俺yoeeeからお前ら頼んだ』系じゃないか?

 そんなことを考えてしまった。


 一例を出そう。


 例えば、僕は今まで自転車小説を中心に書いてきたわけだ。その目的は『自転車の宣伝と布教』だった。そして主人公はいつだって『人並み以上には自転車が得意な人』だった。

 初心者だったアキラ君だってどんどん能力を開花させていったし、ユイちゃんに至っては初期値でカンストしてやがった。

 読者はそれを読んで『主人公に共感して読者も爽快な走りをしている気分を味わって』くれたらいいと思っていた。でも、違うんだ。そのためには主人公を共感の対象として描かないといけない。これが意外と難しい。

 ……では、そもそも読者参加型の小説にしたらどうだろう?

 次回作の主人公は『自転車に補助輪無しで乗れない子』だ。できれば自転車以外では鼻につく野郎だとなお良い。

 要するに成金だったり、学校の勉強が出来たり……まあ、そんな感じだ。

 そいつが補助輪無しで自転車に乗れないと知れば、読者はこう思うだろう。


「俺にやらせろ」と――


 要は、今まで悪役キャラにやらせていた『ざまぁされるムーブ』を主人公にやらせて、今まで主人公がやっていた『ざまぁするムーブ』を読者がやるのだ。

 主人公が悪役を倒す時代はもう古い。これからの時代は、読者が主人公を倒す時代だぜ。


 ……これ、本気でワンチャン流行るんじゃないかな。と、今マジでyoutubeの広告を見ながら思った。

 何なら、『自転車のない世界から転生してきた異世界人が主人公』とかでもいいかもしれない。あわよくば異世界タグが使える(笑)

 人気作品に対してアンチ的な行動をとるなら、やはり人気作品と同じようなタグが付くのは必然だからな。『180度真逆』ってのは、裏を返せば『同一の直線上』って意味だ。




 ……ただ、そろそろ諸君らも気づいている頃だろう?

 そうなんだよ。僕がこのエッセイで書いたネタって、十中八九『僕が書かない』んだよ。

 もし僕が本気で「書いてみたい」と思っているなら、こんなエッセイ書いてないで早急にプロットを起こしている頃だ。

 逆に言えば、それをしないでエッセイ書いている僕は、じつは気乗りしていないのさ。夏休みの宿題があると部屋を掃除したくなるだろ。そういうことだよ。

 つーわけで、このアイデアは使いたい奴が勝手に使ってくれ。

 さあ、今度こそ耳かきを味わうぞー!!

 ひーざまーくらーっ!

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