第61話 怒りは作品作りの原動力になるか?

 よう、古城ろっくだ。

 今日は弟が帰省してきたので、せっかくだから一緒に酒でも飲もうかと思ってたんだけどさ。生憎とあいつも仕事が忙しいらしい。結局一人で飲んでるよ。

 今日はジムビームハイボール缶を開けてみましょう。缶に入ってるハイボールって、ちょっと僕にとっては特別な感じ。

 ん、美味い。

 なんか炭酸の強さと絶妙な香りが引き立って、これはこれでアリって気がするね。味は薄いけど、その反面で炭酸は強めにしておきましたーみたいな印象。

 おっけー。テンション上がって来たぜ。


 さて、本題。今回のテーマは『怒りを原動力に変えて作品を書けるのか』だ。

 例えば理不尽な批判が来た時や、誰か同じジャンルの創作家に差をつけられた時。あるいは前回の僕みたいに、なんか私生活でイライラしたとき、それを作品に昇華できるかって話だね。

 ……結論から言おう。それは出来る!なんなら、既にやって成功した人もいるはずだ。

 以上。解散!











 ――え?もうちょっと話を聞きたいの?

 いいよ。話そうか。


 それじゃあ、怒りを作品作りに役立てるために『やってはいけないこと』と『やった方が良いこと』を、僕なりに語っていこう。


 まず、やってはいけないのが、『怒りを溜めろ』とか『その怒りは今出さずに作品で出し切れ』だとか『いずれ作品で見返してやれ』とか『文句を言う前に作品を書け』とか言うやつ。

 全員、アウトー!

 まあ、そもそも怒りを長期間にわたって、高純度なまま、品質保証付きでチャージできると思っているのが間違いなんだよ。

 フードファイターだって前日食べなかったら当日いっぱい食べられるかと言えば、そうではないでしょ?むしろ胃袋が縮んじゃうらしい。自転車だって、まあ1日くらいは休んだ方がいいけど、3日も休むとコンディションが整わないからね。

 怒りの感情も同じで、今日発散しないとどっかでガス漏れしてエンプティになるんだよ。いや、君が例えば超速筆かつ即興話を得意とする人で、今日の怒りを今日中に作品に出来るなら話は別だ。でも、なかなか出来ないでしょ?

 どうでもいい話だけど、僕ってキャラの名前を考えるところで必ず一回とまるんだ。他のキャラ設定はいくらでも連鎖反応で完成するんだけど、名前だけは独立した存在だからね。



 閑話休題。それじゃあ今度は、『やったほうが良いこと』を説明しようか。

 まず、怒りを感じたらSNSで発散するといいよ。ツイッターでもいいし、このカクヨムでエッセイとかにしてもいい。

 この時『発散』することで、そもそもの怒りの感情を解消する。でも、怒りの元となったものはしっかりとSNSに残るよね。これでいいんだよ。僕はこれを『純度を高める』と呼びたい。

 感情に任せて書いても、あんまり綺麗な構成にならなかったり、そもそもなぜ怒っているのかという前提をしっかり説明できなかったりして、いろいろ不都合なんだ。


 ついでに、フォロワーのみんなの反応を先に知れるっていうメリットもある。

 ぶっちゃけ、『自分がメッチャ怒っているのか、さほど怒っていないのか』と、『それが共感してもらえるか、もらえないか』は別問題だ。

 自分としては「絶対僕の方が正しいもん!ふーんだ。べーっ!」って思ってることでも、周囲からしたら「いや、それはろっきゅんが悪いよ」って思うこともあるわけじゃん?

 逆に「僕はちょっとだけ、こういうのが気になっちゃってさ。えへへ、ごめんね下らない話をしちゃって」って感じで話したことが「いや、俺ならぶん殴ってるわ。つーかガンジーも助走をつけて殴るレベルだわ」みたいな反応になることもある。

 ぶっちゃけ、作品に昇華できるかどうかは、作者のモチベーションで決まるものじゃない。読者の共感度で決まるものだ。なぜなら、作品とは作者が評価するものではなく、常に読者に評価してもらうものだから。

 だからまずはSNSなんかに投稿して、みんなの反応を見るのが重要だよ。なので、もしみんなから否定されて悲しいくらいの怒りなら、そもそも小説のネタに使おうなんて思わないこと。これマジで。


 まあ、自分のメインアカウントでそういうことをするのが怖いなら、ツイッターでサブ垢を作るのも一つの手だね。

 つーか、ツイッター眺めてて思うんだけどさ。確実に炎上狙いなアカウントとか、釣りみたいなことばっかり呟いているアカウントを見ると

「あれ?もしかして小説書いている人の実験用アカウントじゃね?」

 って思うことはある。


 まあ、本来なら怒りとか悲しみとか、本当に自分の心が傷つくような事を体験したら、それは自分の中にしまっておいたほうが良いんだけどね。

 もうね。そんなものまで小説に突っ込む人って、きっと本当に小説を書くために生きている人っていうか、自分より小説が大切な人なんだと思う。

 そうでもない人は、本当につらい出来事を小説のネタにすることはやめておきな。これは親切心からの忠告だ。


 それじゃ、今度こそ僕は寝るよ。ハイボール美味しかった。今日もありがとうね。

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