第56話 続、本編と関係のない番外編の魅力

 よう、古城ろっくだ。前回はすまんかった。まさか本編に入る前に呑みすぎでばたんきゅーとは、僕もびっくりだ。

 それじゃ、今日は最初から本題。番外編って魅力だよなって話だ。

 テレビアニメの劇場版ってあるじゃん?ジブリ作品みたいな劇場アニメではなく、本編がテレビでやっているタイプの奴ね。

 あれに関する意見で、奇妙な話を聞いた。映画ドラえもんに関する話なんだが、




『昨今のドラえもんの映画の風潮見て思うけど、ドラえもんの軸って、ひみつ道具によるたわいもない妄想が具現化したときのワクワク感であって、泣きたいとかじゃないと思うんだよなー


ペット遺伝子を混ぜて神話生物作るのとか、カブからカツ丼とれるとか、鏡の中の世界でお店のおかし取り放題とかねw


特に自分は、作品をみて泣くことはあるけど、泣きたいと思って作品をみることはほぼないので、泣ける作品が一番良いみたいな売出し方や風潮には否定的


むしろ、ワクワク感こそ物語の基本であり王道よ

泣くのはたまにでいいよ。たまにで。もし原作ドラえもんが泣くのが軸だったら、多分打ち切りだよw』




――って、ツイッターで2ツイ使って語ってる奴がいたんだよ。まあ、僕のエッセイでよく槍玉に上がる面白い人なんだけどさ。フォローしておくと偏った創作知識とかをごもっともらしく語る姿を見ることが出来るからオススメだぞ。

 特に僕の創作論とか好きな人は楽しめると思う。何しろ僕も創作論を勝手な視点から偏見で断言するタイプだからな。そういう意味では同族だ。

 ……僕の場合は、読者に「そんなに言うなら古城ろっくの作品を見せてみろ」って気持ちを与えて、メイン作品へ誘導する目的で書いているわけだけどさ。アイツは何のために書いているんだろうな?宣伝する作品なんか無いだろうに。



 さて、最近ドラえもんを見ていない僕でも、上記の通り『たしかに劇場版はお涙頂戴の展開が多いよな』と思っている。ちなみに、多分僕がドラえもんを見始めるよりずっと前からそうだ。別に昨今に限ったことではない。

 そして、ずっとドラえもんは打ち切られていないし、それどころか止まることを知らない勢いである。なんなら『劇場版を見て「泣けた」という人が多かったから、そのニーズにこたえただけ』とすら言える。

 ……アイツ、普段はなろう系の話をするときに『読者が求める展開だからウケる。それは正しい事だ』とか何とか主張しているくせに、こういう時は『映画館に来た客が求める展開だからウケる。それは正しい事だ』とか言わないのな。最近なにか嫌なことでもあったんだろうか?ドラえもん絡みで。


 まあ、これドラえもんがどうして劇場版で感動物語を作るかって話をさせてもらうと、それって普通に『番外編だから』なんだよな。

 本編はあくまでテレビ版。そして劇場に来るのは本編を知っている前提。とまあそう言うわけだよ。

 ある意味、こいつが言っていた『泣くのはたまにでいいよ』って理論が当てはまる。劇場版だけをずらーっと並べて毎週見る奴なんかほとんどいないだろうから、劇場版とはつまり年に一回の泣きのチャンスってわけだ。


 そこを『もし原作ドラえもんが泣くのが軸だったら、多分打ち切りだよw』って理屈に持って行くのは、なんだろうなぁ……

 アレに似ている。いつだったか某政治家が言った『日本人が全部L(レズビアン)、全部G(ゲイ)となってしまったら、次の世代をになう人が生まれない』ってやつ。

 このやたらと話を大げさに盛り盛りしていく構文に名前があったら知りたい(笑)

 まあ、どっちにも「いや、そうはならんやろ」って言っておくか。


 ちなみに、クレヨンしんちゃんとかプリキュアとか、結構多くの作品が『あくまでテレビアニメの番外編』として劇場版を出している。つまり、劇場版だけを見ても面白くない。テレビアニメとセットで楽しんでほしいって形で完成している。

 だからドラえもん劇場版ではジャイアンが綺麗だったり、のび太がカッコよかったり、そもそもドラえもんが何者なのかを説明しないで話を始めたりと、本編そっちのけの展開がウケるわけだ。最初からそういう層をターゲットにしているからな。

 珍しいのが、『名探偵コナン』だ。あれは本当に珍しい事に『テレビアニメ本編を知らない人が唐突に見ても楽しめる』という構造になっている。

 蘭と新一のロマンス。大きな謎解き。少年探偵団の活躍。それらはまさに名探偵コナンの『本編』と呼べる要素が詰まったものになっている。あれは決して番外編などではない。《※1》

 だからこそ、毎回コナンの原作やテレビアニメ版を知らない人のために、

「オレは高校生探偵、工藤新一。幼なじみで同級生の毛利蘭と遊園地に遊びに行って、 黒ずくめの男の怪しげな取り引き現場を目撃した。取り引きを見るのに夢中になっていたオレは、背後から近付いて来る、もう一人の仲 間に気付かなかった。オレはその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら(声変更)体が縮んでしまっていた!!」

 ってやってくれているわけだ。てれれーてー てれれーてーててー。

 あと毎回キャラクターが登場するたびに、字幕で『探偵 毛利小五郎もうりこごろう』とか『警部 目暮十三めぐれじゅうぞう』とか出してくれるのも、初見に優しい構造だ。

 まあ、ろくに見てねーけど(笑)


 今日のまとめ。

 その劇場版は『番外編』なのか『本編』なのか。ターゲットは『本編見ている人』なのか『これから本編も見る人』なのか。それを考えたほうがいい。


 これ、カクヨムでも番外編とか書く時に意識してほしいんだ。『誰がターゲットなのか』『本編を知っている必要があるのか』そして『番外編か、本編の集大成か』

 これを意識するだけで、ずいぶん作品はブラッシュアップされるはずだぜ。

 ……僕の友人にも、半年くらい前から、自作の番外編を書き始めたやつがいるんだけどな。それが新規客を狙っているのか、前作ファンを狙っているのか分からない書き方をしているんだよ。

 とはいえ、そいつとは批判の在り方や戦いに関する価値観で意見が割れてしまってな。おかげさんで、僕も楽しい戦いが出来る気がしなくて言い出せないでいるんだよなぁ。

 ああいうのは嫌だぜ。戦いを楽しめる奴と交流したい。


 ちなみに、僕の作品はどうかな?

 例えばチャリンコマンズ・チャンピオンシップって作品があったでしょ?

 あれは狙っている読者層が同じであれば、番外編として『第9.5話』とかいう形で挿入している。一方で読者層の違う番外編としては『スポーツ自転車始めたら美少女が『様』呼びでついてきた件』のように作品を分けている。

 前者は本編を読んでくれている人向けで、後者は本編を読んでいない人向けだね。

 うまくできてたかな……えっと、僕自身、あんまり自信はないんだ。

 結局、番外編の方が本編より高い評価を得ちゃったし、ね。えへへ。




※1.読者に言われるまで忘れていたのですが、『黒ずくめの組織』との決着はどうしたんでしょうね?

 あれ?それが本編だとするなら、名探偵コナンってテレビでも劇場版でも本編やってなくね?――しまった。こんなこと書いたら組織に存在を消されてしまう!

 かくなる上はアポトキシンなんとかかんとかを飲んで、合法的に蘭ねーちゃんといろいろ出来る年齢まで戻るしかない。しばらく酒は飲めなくなるなぁ……

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