第43話 寂しくなるが、これが令和か
よう、古城ろっくだ。今日は久しぶりに素面で失礼するぜ。
あ、コーラ飲むか?定番のコカ・コーラがあるんだ。冷えてるぞ。
……いつもなら、これにマイヤーズ・ラムを入れてラムコークを作るところなんだがな。ここで残念なお知らせがひとつある。どうやら、マイヤーズは生産終了するらしい。
つまり、市場の9割からダークラムが姿を消す可能性があるって事だ。寂しくなるよな。
さて、本題。残念ながら今日は、読書好きのみんなにとって面白くない話だ。僕にとっても面白くない。
今ツイッターで話題の、『書籍の値段を内税表示にすることが義務化か』って話。これに各書店や出版業界がてんやわんやになっているらしいな。
まあ、そりゃそうだろう。
賞味期限のある食品や入れ替わりの激しい流行りものと違って、本やらCDやらは長期的な売り上げを狙って出版される。もしその間に消費税率が変われば、すべてのカバーをかけかえる必要が出て来るって事だ。
書店だってカバーをかけかえる人件費を捻出するのは難しいだろうし、何より人員をそのときだけ確保するのが困難だろう。かつては棚卸だって、短期バイトを大量に雇っての人海戦術でやっと終わらせてたくらいだろうからな。
もちろん、出版社もかけかえ用の新しいカバーを作るのは大変なはずだ。何しろ他のページより圧倒的に印刷コストが高いからな。
せっかく税率10%で計算しやすくなったことだし、もう今まで通り本体価格+税の表示でいいような気もするんだけどさ。
さて、この状況を静かに傍観して、ひそかにチャンスだと考えている業界があるはずだ。どこだと思う?
答えは電子書籍。
これに関しては実物を印刷しているわけではないので、ダウンロードにかかるコンテンツ料金を税込み価格で表示することなんて簡単なはずだ。最初からそのプログラムを組んでいるなら、税率が変わったという情報の入力だけですべての作業を終えることが出来るからな。
これからの時代、もしかしたら書店やレコードショップは、この税込み価格表示義務のせいでとどめを刺されるかもしれない。僕一人が「これじゃ出版業界は潰れるー」と言っているだけなら笑い話だが、出版業界の人たちがこぞってその話をしてるんだから本気でヤバイぜ。
どこかにいないのか?「税込み表示くらいで出版業界が潰れるなんて話はデマです。大丈夫だから落ち着いてください」とか言ってくれる業界人は……いないか。残念だ。
前に話したことがあるかもしれないが、僕こと古城ろっくは書籍化とやらに興味が無い。自分の書く小説はネットでこそ強みを出せるものだと確信しているし、何かの間違いで書籍化の知らせが来たって嬉しくもないから断る予定だ。
だが、それはそれとして、だ。
古い考え方かもしれないが、僕は本屋で実際に本を手に取り、その表紙の光沢感や帯の売り文句、あるいは分厚さやページをめくる感覚を楽しみにしている。そうやって選んで、直感で買いたいのだ。もちろん、現金で。
物理的な所有欲とでもいうのか……そういうのが満たされないと、気分が乗らない。
でも、これからはそんな時代じゃないかもな。やがて仮想通過を使って電子書籍を購入し、クラウド上にだけ本棚を所有する時代が来るのかもしれない。
寂しくなるな。本当に――
僕らのバンドが、来年ごろにはファーストアルバムを出すかもしれない。一応、これもCDとダウンロードの両面で展開しようと思っているんだが、
……多分、CD版は売れないと僕は思っているんだ。誰がわざわざネット販売でしか手に入らないようなCDを欲しがるんだ?
え?「お前ステマがしたかっただけか」って?
……さ、さぁ?何のことでしょう?心当たりがないなー
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