第28話 次回作のコンセプトが決まったと同時に没になった話(前編)
よう。古城ろっくだ。今日は給料日まであと3日を切ったという事で、飲んでる酒も安いぞー。
えっと、『香薫』とかいうウイスキーを買ってみた。600mlでほんのワンコイン程度。値段だけ見ると『キングウイスキー 凜』とかが対抗馬かな。
名前の通り香りは悪くない。そして味だが、甘い。それも樽からにじみ出る甘さとか、グレーンを配合した甘さとかではない。砂糖みたいに甘い。
……やっすい味(実際安いのだが)。
ハイボールがオススメとのことだったので、実際に作ってみた。うん。ジュースみたいでグイグイ行ける。仮にウイスキーが苦手な人でも、これは好きになれるんじゃないだろうか。
どうでもいいけど、『〇〇が苦手な人でも好きになれる』は褒め言葉じゃないよな?
さて本題。つーか、今回の前置きは本題に関係するかもしれない。
ツイッターやらエッセイやら、その他のいろんなところで、僕は創作論を学んでいる。
それで、よく見るやつ。
「読者に伝わるように心がけると良い」
「難しい専門用語を使うな」
「設定ばかりにこだわるな」
「人物に焦点を当てて書け」
これらは大体どいつもこいつも言う事である。
僕もそれらを意識して書いているのだが、それと裏腹に時々、読者から「専門用語が多くてわかりにくい」とか「自転車関連の部分を読み飛ばせば面白い」とか、あまり意図しない感想を頂いている。
ああ、勘違いするなよ。こういう感想も『読者の本音』であるなら嬉しいんだ。やっぱり自分では気づけない弱点を気づかせてくれるのは有難い。
さて、今更チャリチャンをその要望に合わせて修正するのは不可能である。そんな事を言うとどこからか『修正はいつでも、いくらでも可能です』みたいな声が聞こえてくるかもしれないが、違うんだよ。
修正した結果が同一の作品と呼べない何かになる可能性が高いんだよ。あー、例えば……
自転車を見るたびに細かい部品を指さして「ねえ、これ何?」って訊かない空君が空君だと言えるか?
自転車の知識を豊富に取り揃え、そこから作戦を練るための情報を整理しない茜ちゃんが茜ちゃんだと呼べるか?
エロ発言だと見せかけて実はひたすら自転車の話をしていた――と見せかけて本当にただエロいだけだったミス・リードがミス・リードだと思えるか?
細かい理屈を、それこそ自転車に対しても小説の書き方に関しても細かく持論を展開しない古城ろっくを古城ろっくとして付き合ってくれるか?
チャリチャンはあの専門的な話題ありきで世界観(というよりレース内容)やキャラクターを作っている。そこから自転車の専門的な話題を抜くという事は、家から土台を抜く行為に近い。世界観もキャラも作者の精神も崩壊する。
なので、番外編として初心者の手引きになればと『スポはじ』を書いたわけだ。これがまさかチャリチャン以上に人気になっているのだから、世の中とは分からないものである。今ちょっと更新止まってるけど、作者取材のためだから勘弁してくれな。
さて、チャリチャンが終わった後に何を書くか。それが僕の課題だったわけだが、この度アイデアが下りてきた。
専門的な話を極力避けて、それでいて自転車小説として成立し、なおかつ小説受けしそうな作品。
あえて言うなら、『自転車×異能バトル』だ。
もうちょっと別な言い方をするなら、超能力と見せかけて車体性能やテクニックの話をするわけである。
要するに……
例えばMTBがオフロードを走っていくとき、チャリチャンだったら――
フロントの120mmストロークのサスペンションは、大きな段差でも減速せずに衝撃を吸収できる。さらに素早いリバンプにより、直後に体制を立て直せるのだ。
この特性が、たとえコーナーであっても車輪を跳ね上げ過ぎず、滑らせない。
また、ギアもその段差に対抗する力を持つ。フロント22Tシングルに対して、リアが最大48Tのロケット。その倍率は実に0.46倍。
――みたいな説明をしていたわけだが、確かに専門的すぎて一部の読者を置いてけぼりにしているかもしれない。(実際には初歩的なことしか語ってないが)
なので、次回作ではもっとシンプルに、何かよく解らん能力でなんかできることにする。
こんな感じだ。
あいつはオフロードを平然と走る能力を持っている。彼の特殊能力、
通常なら越えることのできないはずの段差を、それでもゆっくりと登っていく……
――みたいな程度で説明を終わらせるわけだな。
似ているやつの話をすると、KBTITさんの漫画『ブリーチ』がそれにあたる。実は斬魄刀の固有スキルに頼った戦いが中心であるにもかかわらず、まるで個人の超能力によって戦っているかのような雰囲気を持たせる。
それの自転車版だ。
もうこの際、『奴は自転車で段差を超えた』程度の結果のみを書く。『なぜ段差を超えられたのかというと――』から続く話は全て超能力で説明をつける。物理的な何かではなく、超能力だ。
これなら読者も読みやすいだろうし、異能バトルというキャッチ―な売り文句もつけられる。ついでに言えば文字数も削減出来て、僕も作業量を減らせるわけだ。ちょっとくらいデタラメ書いても文句も来ない(笑)
一見すると良い作戦だろう?
でも、僕はやりたくないと思ってしまった。
だから、没だ。
理由については、明日にでも語ろうか。後編でな。
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