第23話 音楽における古いだの新しいだのの基準
よう、古城ろっくだ。いま家でミクストンプ探してんだけどさ。見当たらないんだよ。
え?ああ、エレキギターから初音ミクの声が出る奴だよ。「あー」とか「らー」って歌ってくれるあれ。どこ行ったかな?倉庫か?それとも部屋の段ボールのどれか?
……まさか、ハードオフってオチは無いよな。やべぇ、震えてきやがった。
さて、本題。
実は僕、音楽における「なんか古い感じの曲だよね」とかいう感想がまったく理解できないんだよ。
いや、まあ知識的に実際古いなら分かるんだ。リリースされた時代がはっきり判明していて、「間違いなく80年代の曲」と判明しているなら、まさしくそれは『古い曲』でいい。
問題はここから。
世の中には初めて聴いたはずの曲を、いきなり「古い感じの曲だね」と言い当てるやつがいるんだ。聴いたことも無いのに、だぜ。
超能力者かっての。しかもそれは僕の周りに大勢いて、彼らはむしろ僕を指さして「なんで分からないんだよ」って態度をとってくるわけだ。
おいおい、なんで分かるんだ?
いや、例えばロックなら、そのジャンルが生まれたのが50年代である。どこまでさかのぼってもそれより昔ってことはない。
だからロックを聴いて「ああ、50年代以降の曲だね」ってんなら理解できるんだが、それにしたって1950~2020のどれに該当するのか分からんぞ。特にロカビリー系な。
彼らのその『古い』を当てるセンサーってのはどう感知しているのか。非常に謎だったんだ。彼ら自身も細かい理屈は不明だそうで、これは迷宮入りの事件じゃないかと思っていたんだ。
ついに、その理由について仮説を立てたぞ。証明する手立てはないが、一説として聞いてくれ。
人間は、自分が青春時代に聴いた曲の傾向を『新しい曲』として認識するんだ。すると、それ以外の曲を『古い曲』と認識し始める。
ようは、自分が理解できない曲を遠ざける時、それをグルーヴやメロディの所為ではなく『年代の所為』と認識する。
すると、若い人たちは自分に馴染みのない曲を片っ端から『古い曲』だと批判するし、実際に流行に敏感な彼らは正解率も意外と高くなる。
そして、歳を取ればその逆。自分たちが認識できない曲を『今時の曲』と称する。
要するに年代を当てているのではなく、自分の記憶にないジャンルの曲を適当に『きっと世代が違うんだ』と言った結果、そこそこな確率で当たるのだ。
さて、それでは僕が曲を聞いて古いか新しいかを全然当てられないのは何故なのか。それも考えてみた。
……答えは簡単。高校に入るまで音楽に興味も無かった僕は、高校でバンドを始めて以降、それまでを取り戻すように何でも聴き漁ったのである。
あまりにも多くを、それも広く浅く聴き漁った結果、僕の中に『青春時代に聴かなかったジャンル』がおそらく無い(少ない)んだ。
だから先ほどの仮説に照らし合わせるなら、僕の中に理解できないグルーヴやメロディはない。いや、まあ再現できないグルーヴやメロディはあるけど。
だから僕にとって、初めて聞く曲は年代を問わず『新しい曲』に聴こえる。つまりそういう事じゃないかな。
それでも僕が時々感じる「これは古い曲」って印象の曲があってな。それが3コードロック。
多分、僕がギターを習い始めたころからよく弾いていたからなのだろう。これだけは古く聴こえる。
うん。でも外れるんだ。的中率は低い。なんせ最近だって3コードロックが衰退したわけではないからな。うっかりすると新曲の3コードロックを聴いて「これ古い曲でしょ?」って言ってしまいそうで怖い。つーか言いかけた経験が何度かある。
いや、でも本当にこの仮説があっているかは僕にも分からんぞ?
なんにしても、音楽をやってて思う事として『なんとなく』って感覚の裏には、必ずその理屈が存在する。よく言う『なんとなく切ない曲だよね』の裏に存在する理屈は大体7thノートだ(笑)
だから『なんとなく古い曲だよね』の裏にも音楽的な理屈が存在するのかもしれない。それこそ僕の今回の仮説を覆すような何かがあるのかもしれない。6thノートを使っていたら古いとか?……いやいや、それは違うか。
うーん、何だろう?
割と真剣に、それを理解することがバンド活動にはもちろん、小説活動にも繋がると思っているんだよ。
そう。小説にも古いとか新しいとかがあるらしいな。これも僕には理解できない感覚なので、ちょっと勉強してみたい。
いや、まあ冒頭で『時をさかのぼる事1000年前』とか言われたら、劇中の時代背景だけは古いのが理解できるけどさ。そういうのじゃなくて、書かれた時代が古いとか、書いた人が古いとかを判別することができる人がいるのだとか。
これに関しては、マジで古文でも使われてない限りどうやって判断しているのか分からん。歴史小説なんて50年前に出版されたものを持ってこられて『今年の新作だ』とか言われても信じる自信がある。
うーん、難しいな……
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