第20話 小説はいきなり本番かもしれない
よう、古城ろっくだ。
まあ、あの……いつぞや語ったかな?僕が最初に小説を書き始めたきっかけって、タイピング練習だったんだよ。
いやー、昔から本なんか全然読まないタイプでさ。暇さえあれば身体動かしているか、ゲームでもやっているかって感じだったんだけどね。
ある日、パソコンが家にやってきまして、「使いこなせたらカッコイイだろうな」って気持ちで、適当な文章を打ち始めたのがきっかけだったのね。
最初は……たしかゲームのセリフとか出来事を打ち込んで、いわゆるゲームのノベライズ版みたいなのを作るところから始まったんだよね。
当時好きだったゲームって言うと、サクラ大戦とか、エースコンバットとか、無双シリーズとか……広くて浅いな(笑)
ああ、あれだ。戦国無双2の孫市が好きでさ。特に秀吉との友情みたいなのって良いよね。あのカップリングだけでご飯3杯はいける!二人で女ナンパして、失敗して、「もうお前でいいや」ってなる妄想まで書いた気がする。
さて、本題。
じつはネット小説サイトとかでいろんな人の話を聞いていると、みんな結構いきなりオリジナル作品から入っているんだよね。これは僕もちょっとびっくりしちゃったぜ。
いや、僕も結構いろんなところを回った気がするんだけどさ。バンド界隈だと、最初は好きな曲の耳コピとか、譜読みから始まるわけよ。それでスキルをある程度積んだらオリジナル曲って感じかな。
イラストなんかだと、大概みんな模写から入るよね。専門学校にいたころの思い出だけど、先生がみんなに「好きなイラストレーターは?」って聞くわけよ。するとみんな、自分が子供の頃に模写していた人とかを上げていくんだよね。
これに関しては僕が異端だと思う。僕は特に好きな絵描きさんとかいなかったし、これといって模写から入った経緯も無かったりするんだ。それどころか、専門学校に入学する時まで、絵なんか描いたことが無かった。
……よく受験できたよね。
これらに対して、小説はあんまり「模倣から入った」って話を聞かない気がする。
もちろんオリジナルから入った人もいるんだろうけど、例えば自分の文体を「誰を参考にしましたか?」って訊かれたときに答えられる人って、どのくらいいるんだろう?
え?僕?
そうだなぁ……意外と分かりにくいかもしれないけど、僕の書いている『チャリンコマンズ・チャンピオンシップ』は、じつは『灼眼のシャナ』あたりから影響されているところが多かったりするんだ。
フィールドやアクションの細かい解説。宝具の使い方や能力、その生かし方。
とにかくバトルシーンの熱狂は、まるで映像作品を見ているかのようなカッコよさと、その場に自分がいて戦っているかのような没入感があるよね。
つーか、シャナも模写してたっけな。それで――(全ダッシュ)の使い方とか覚えちゃったから、最初はこの記号の正しい使い方を誤解していた節もあったり(いまだに正しい使い方など知らんけど)
まあ、あれ悠二がいなくなってから読んでないから、そこから先の展開を知らないんだけどさ。
あ、本題からずれている気がする。
要するに僕が言いたかったのは、『小説書きって他の表現と違って、模倣も練習もなしにいきなり本番に臨む人が多いよね』って話。
これに関して是非を問うつもりはないんだけどね。メリットもデメリットもあるだろうし。
でも、この視点から眺めていくと、何か見えそうな気がしたんだ。
いろんな分野を渡り歩いた僕が、ネット小説界隈において馴染めない理由とか、そんなのが理解できるんじゃないかな、って。
ううーん……酔っぱらってないせいか、ちょっと切れ味が悪い結果になったね。
まあいっか。
あ、シャナで思い出したけど、あのプロローグみたいなやつ、ちょっとやってみたいよね。前の巻までで説明した世界観を地の文で語りながら、キャラたちが何の関係もない会話をする奴。
今度チャリチャンで番外編でも書く機会があったらやってみようかな。
「ねえ、茜。今日の天気は良いみたいだね」
――チャリンコマンズ・チャンピオンシップ。それは、2018年の1月に行われた自転車レースである。
「それじゃあ、タイヤの空気を戻しておいた方が良いかもな。日差しは出るのか?」
――この大会は、経歴も仕様車体も制限を設けず、なんと各セクションごとの目標タイムもないまま開催された。
「うーん、一応出るみたいだけど、アスファルトを温めるほどでもないかも」
――唯一のルールは、自転車を乗り換えてはいけない事。
「よし。じゃあアタイは115psiで行く。空もそのくらいだろ」
――今日も選手たちは、それぞれの自慢する自転車に跨る。
「うん」
――まるで、手足のように切り離せない相棒と共に――
うん。やめようか。
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