第14話 お客様は神様じゃないけどお客様だぞって話

 よう、古城ろっくだ。酒が好きだけど、大して詳しくもないし金もないから安いので満足するタイプだ。


 ちょっとね。Youtubeの動画見てたら、接客業における理不尽なクレーマーの話を動画にしている奴がいてさ。いや、そいつの動画はいつも面白いし、今回も楽しかったんだけどね。

 それを見てさ。5年くらい前、コンビニ店員に酷い扱いをされたなってことを思い出したので、その話。


 5年前って言うと、僕がまだサイクルトレーラーに出会っていなかった頃。荷物が多いと電車に頼ってた時期があったのさ。恥ずかしながら、ね。

 で、普段は自転車を運転する都合により、酒を飲めないわけだけどさ。せっかく電車の日くらい酒を飲んでもいいだろうと思ったんだ。ライブが終わったばかりで気持ち的に高ぶっていたこともあったし、電車がまだまだ来なくて暇だったってこともある。

 ついでに言えば、その駅前は冬になるとイルミネーションで彩られるんだ。ベンチに座ってイルミネーションを見ながら酒盛りもいいもんだなと思ってね。


 あ、そうそう。ちょっと話は逸れるんだけど、外で酒を飲む風習って日本特有の文化らしいね。花見酒とかアメリカでやったら捕まるよ。ってとあるVtuberが言ってた。


 さて、話を戻そう。僕はその時にコンビニへ行き、ポケットサイズのウィスキーを買おうとしたんだ。ついでにポテチと駄菓子をつまみにしようと思って、それもレジに持って行った。

 すると、店員が言うわけだ。


店「お客様、身分証明書などありますか?」

僕「は?……ああ、成人しているように見えないってことか?一応25歳なんだが」

店「決まりになっておりますので、確認のため」

僕「店員さんも大変だな。ほい保険証」


 特に何の問題もない会話だろう?ここまでは、な。


店「あの、お客様。顔写真などの確認ができる身分証はありませんか?」

僕「いや、ないよ」

店「こちらの保険証だけですと、お客様ご自身の物かどうかわからないので」

僕「……それなら、生年月日でも住所でも読み上げてやろうか?警察に職質されるときはそうしてるし」


 この時点で、店員はなかなか失礼な野郎である。僕が他人の身分証を盗むような奴に見えたんだろうか?もし僕がそういうことを平気でするようなクズなら、お前の店の酒だってレジ通さないんだが?

 まあ、でも警察の目も光っている以上、やはり間違っても未成年に酒を売るわけにはいかないのだろう。この数年前に『未成年に年齢確認せず酒を販売した場合、店側にも刑罰を与える』との法律ができたのも記憶に新しい時期である。

 本来なら、客が自己申告で年齢認証にタッチした時点で、店側に責任などなくなるから安心していいんだけどな。


 というわけで、警察もよくやる『生年月日と住所を答えてください』ってやつを僕は提案したわけだ。確かに拾った身分証などの場合、その内容を細かく覚えている可能性は低い。逆に言えば自分の話なら覚えているはずだ。

 警察でも用いられているこの手法なら、僕が今出した身分証が僕の物である証明ができる。

 しかし……


店「お客様。どうあっても顔写真が入った身分証を見せていただけなければ、こちらの商品を売ることはできません」

僕「そう言われてもないものはない」

店「何かありませんか?運転免許証などは……」

僕「あったら電車なんか乗らないし、回りに何もないような駅に来ないし、ついでに言えばこのコンビニにも来ないわな」


 仮に地下デパートでもあるならそれ目当てに来る客もいるかもしれないが、地方都市の小さな駅だろ。なんなら駅内にコンビニが出店しているのが奇跡みたいな状態だ。そこに車の免許を持った奴が来る理由がないだろ。知らんけど。


店「あー、それじゃあ売れませんね。はい」

僕「まあ、店員さんがそう判断するならいいわ。要らない。別な店で買う」

店「あ、それでは、こちら身分証になります」


 まあ、返してもらわんと困るからな。なんなら商品も棚に戻しておこうか……


店「それではウィスキーを除きまして、ポテトチップスが一点……」

僕「要らねぇよ!?」


 なんで都合のいい商品だけ売りつける気してんだよ。酒もつまみもお前の店では買わんわ!




 なーんてことがあったんだよ。

 最近、接客業の在り方が見直されている。主に店員側に有利なように、だ。それはもう「今まで数十年にわたって客が偉いってことにしていたんだから、これから数十年は店が偉い事にしろ!」とでも言わんばかりだ。

 お前ら想像力が足りない店員どもに言っておくがな。身分証まで出したのに身分を疑われる人間の気持ちって考えたことがあるか?


 別に僕は「お客様なんだから神様として扱え」と言ったつもりはない。

 ただ、「身分証を出しているのに成人扱いしてもらえないのは不当だ」と言っているんだ。

 なんで目の前の店員や客を、対等に『人間』として扱えないんだろうな。


 そんな話を、今更のように思い出した。


 それにしても、最近コンビニが乱立しすぎているとの意見も聞くが、それは別にいい事じゃないか?

 何しろ、どこかのコンビニが使えなかったとしても、他のコンビニに行くことができる。すべてのコンビニがきちんと買い物できる店舗だと思ってはいけない。

 実際、この時は駅から徒歩5分のセブンイレブンに頼りました。ありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る