第10話 そもそも小説におけるエロとは何か

 よう。古城ろっくだ。今回、結構長いぞ。3000文字くらいある。読むときは覚悟してくれ。

 あ、そうそう。ちょっと余談なんだが、さっきまで僕はエロ小説を書いてたんだ。読みたい人、いる?

 まあいいや。こっちでチキンレースやる気はないんだ。いや、カクヨムならちょっとくらいエロ書いても怒られないと思うんだけどさ。だからこそ余計に、つつく必要のない藪をつついて蛇を出したくはないよな。誰だってさ。

 じゃあ、なぜ『なろう』ではR18による警告が耐えないか、というと……簡単な話、なろうがエロに過剰反応して、何でもかんでも禁止するからだ。

 こっちだって無駄につつく必要のない藪をつつきたいとは思わないんだよ。避けて通れるなら安全に書きたい。なのになろうの場合、道のど真ん中をふさぐように藪があると言っても過言じゃないのだ。じゃあつつくどころか飛び込むしかないじゃん。

 こうして、なろうでは日夜、地雷処理班のチキンレースが行われている。というより、どこまでが違反だか分からないので、どうしても屍を使って線を引くような行為をするしかなくなる。

 正直言おう。僕はなろうにいたころ、多くのBAN作家たちに感謝していた。彼らがエロ書いて警告を受けたことを発表したからこそ、僕は安心して執筆に臨めたのだ。

 逆に言えば、彼らがいなかったら僕は何も投稿できなかった可能性さえある。と言えば言いすぎだが、例えばチャリチャンの味は落ちるだろうな。


 今、僕の話を聞いたチャリチャン読者の多くが「ああ、ミス・リードってキャラがいるもんな」と思ったことだろう。しかし、作者の懸念はそこではない。

 僕の主観では――あ、あくまで僕の主観では、だぞ?

 ミス・リードの発言なんて、別になんの問題もないんだ!

 むしろ引っかかりそうで怖いのは、第3話の雨に濡れた茜ちゃんとか、第7話のストラトスさんに無意識な誘い受けを仕掛ける空君とか、第15話でうっかり室内用ガウンのまま廊下に出てきちゃった茜ちゃんとか……

 ぶっちゃけ、そっちの方がエロいんじゃないかと思って書いている。


 例え話をしようか。まあ、お下劣な単語を直接言ったところで、それは別にエロくもなんともないじゃん?例えばゆゆうたニキの『この世の終わりみたいなインスタの投稿』って曲を聴いて「うわー、エロい」って思える人、いる?

 あれはyoutubeで削除対象になったらしいけど、個人的にはそれよりエロい曲なんていくらでもあるわけだ。RCサクセションの『雨上がりの夜空に』なんてよほどエロいよな。

 ……いや、何が言いたいかってーと、『エロいかどうかの基準が分からない』ってのはあると思うんだよ。何しろ、僕が思う『エロ』と君が思う『エロ』は絶対別物だ。

 確かにミス・リードの話はエロいかもしれないが、考えてみてくれ。彼女は放送室から声を届けているだけで、別に直接見れるわけでも触れるわけでもない位置にいる。登場キャラの中で唯一孤立している存在でさえある。

 そんなものが劇中で何を言っても、読者からしたら劇中劇の茶番。主人公たちからしても、実際に何かされるわけでも、してもらえるわけでもない。

 ――と、まあこんな具合なので、できれば警告が来た時に、『どこが、なぜ、どういった観点から、主にどんなものを想起させるから』警告が来たのか、それを明らかにしないと話にならないってことだよ。


 なのに、なろう運営は明らかな悪手をとっている。

 どこが悪いのかを具体的に示さない。しかも、その理由が「線引きを教えるとギリギリを狙う作者が増えるから」という、アホ丸出しの理由なのだ。

 いや、線引きはしっかりした方がチキンレースにならないとは、冒頭で語った通りである。そしてギリギリを狙われて不都合であれば、グレーゾーンより手前に線を引くのが当然なんだからな。ギリギリを狙われる前提で余裕をもって線を引けよ。


 もちろん、作者だって「エロに心当たりがない」なんて言うやつはいないだろうさ。もしいたらそいつは頭がおかしい。

 本音を言ってみろ。警告が来た作者は「心当たりがない」のではなく、「心当たりが多すぎる」んだろう?

 そしてその心当たりを片っ端から修正した場合、元の作品の面影をほとんど残さないものになりかねない。だから修正したくないってのが本音だろう。


 ……まあ、ぶっちゃけそんな作者たちを悪く言う気は、僕には一切ないんだけどね。むしろ気持ちは解るよ。

 もともと、自分の物語を書きたくてアカウントを取得したんだものな。

 なのに「自分の物語を書くのをやめるか、それともアカウントをBANされるか」って訊かれるのは、言ってしまえば「服毒自殺と飛び降り自殺のどちらがいいか」と訊かれているようなものである。

 どうせ死ぬなら、自分のメイン作品と心中したいよな。作品だけ死んでアカウントだけ空っぽの状態で残るより、数万倍マシと言える。

 それなら最初からミッドナイトノベルズで書けばいいとか訳の分からないことを言う輩もいるわけだが、それは間違いだ。何しろ作者は「自分の中では少年向けに書いている」という意識があるのだから。

 読んでほしい人がいるから、書く。これも作者として当然の事だよな。なのに「読んでほしい層のいないサイトにいくか、それともBANか選べ」ってのは、「首吊り自殺と飛び降り自殺のどちらがいいか選べ」ってくらいの無茶だよ。

 なら作品だけを葬り去って、読者だけを裏切るより、

 作品も作者も読者も、全員で痛みを分かち合いたい。


 僕は目的をはっきりさせて活動するタイプの作家だからね。脅しに屈するってことを知らないんだ。

 そしてなろう作家の皆さんも、できれば運営に警告を貰った時、「BANされないようにしなきゃ」じゃなくて「BANされるのとどっちがいいか」と考えてほしい。勇気ある決断は時として、BAN作家という不名誉さえ名誉に変える行動だ。


 以上、「チャリチャンからちょっとエッチな要素まで抜いたら、それはただの自転車のカタログになっちゃうなぁ」と思っている、古城ろっくでした。




 このサイトは、そんなアホに染まらないといいな。

 別に規制が厳しくなること自体をアホだと言っているわけじゃないんだぜ。その規制を明確にしなかった結果、様々な憶測だけを独り歩きさせるのがアホだと言っているんだ。

 ああ、ノベルアップ+ってサイトがあるだろう?あそこの良いところは、アカウントBANしたときにその理由を明確に発表するところだ。今のところR18でのBANはないみたいだがな。

 例えばツイッターで相互評価を呼びかけたのが問題なら、お知らせで『ツイッターでの不正な評価を要求する行為を発見したのでアカウントを削除しました』って感じで発表してくれるわけだ。

 これなら余計な憶測を呼ばないし、作者にいわれのない悪評が付くこともない。サイトに変な噂が立つこともない。

 信頼関係ってのは何も味方同士だけで必要とするのではなく、敵となったときも必要になるってこと。サイトがユーザーを追い出すときも、ユーザー同士がブロックし合う時も、必要なのは信頼さ。


 次回は、この『信頼』と『裏切り』について語っていこうか。ちょうどここ最近、腹の立つガキがまた好き放題やらかしたみたいだからな。意趣返しも兼ねるぜ。

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