人嫌い、無事帰宅

「それじゃーありがとなー!」


「おじさんもーありがとねー。」


「…ありがとう…ございました。」


「お世話になりました!」


「お、お疲れさまでした。」


「ありがとう。」


「いい経験になりました。」


「どうも。」


「おじさん!また遊びにいくぜ!」


「体調に気を付けてくださいね。」


「お疲れです。」


「みゃー。」


三日にわたるバイトを終え、秀人たちは帰ってきた。博人は全員と挨拶を終えると、すぐに帰っていった。


「おじさんー今日も仕事みたいだねー。」


「…この時期…稼ぎ時。」


「ですね!天気もいいですし、繁盛しそうです!」


「ま、まあお客さん多かったしね。」


「いやーいい経験だったよ。普段の業務よりも、忙しいことがあるとは。」


「それは会長だから言える事ですよ、私なんて図書室の受付で精一杯だと分かりました。」


「1ラウンド分。」


「普段部活で動いてるから、そんなに苦じゃねーな。たまに男が寄ってくるけどよ…仕事中に失礼だっての!」


「…沙弥ちゃんも可愛いんだから、もっと恋愛しようね?」


「じゃあこれで。」


「みゃー。」


「えー秀人帰るのー?」


「…私も…久々に…家へ。」


「ホームシックですかね!自分も今日は寝ます!」


「し、新作のゲームがあるから買わないと…」


「前半遊んだ分、夏の課題を終わらせるとしよう。」


「読書感想文でも仕上げようかしら。」


「練習。」


「俺も部活に向けて練習するか。」


「心愛ちゃん、今日はゆっくり休みましょう?」


「はい決まり。さようなら。」


「みゃー。」


やはり疲れは溜まっていたようで、帰宅という秀人の意見はすんなり通った。それぞれが歩いて帰るなか、方向が同じ秀人、麗華と大山は揃って歩いていた。


「…筋肉痛…なりそう。」


「なかなかハードでしたね!先生の方は平気ですか!」


「突っ立ってるだけだからね。なんなら、タマの方が仕事してるよ。」


「みゃー。」


「…収入…どうしよう。」


「自分も悩みますね!」


「何さ、欲しいものがあって働いたんじゃないの?」


「…楽しそう…だったから。」


「海へ行くのに、親の手を借りるのは申し訳ないかと!」


「はあそんな考えね…よく分からないけど。」


「みゃー。」


「…秀人は…どうだった?」


「今回は無理を言ってしまい、申し訳ありませんでした!」


「答えは分かってるでしょ?」


「…やっぱ…面倒だった。」


「そりゃね。」


「今後も何かあれば、お力を貸していただけると!」


「また呼ばれることがあるわけ?」


「…例えば…これとか。」


そう言って麗華が見せたのは、神社で行われるお祭りの案内だった。麗華のスマホを借りて読んでいくと、最後には花火もあるらしい。


「…まさかとは思うけどさ。」


「…秀人…忙しい?」


「先生との思い出を是非と!」


「僕はそんなものいらないし、人が集まって騒ぐような場所は嫌いなんだけど。」

 

「…人に…揉まれて…強くなる。」


「もちろん!自分が先生のことガードしますので!」


「てかこの日って、あのボクサーの試合じゃないの?」


「…林の…お疲れてきな。」


「勝っても負けても、林さんを楽しませたいかと!」


「なら、なおさら僕はいらないでしょ。」


「…林は…秀人がいると…楽しそう。」


「試合後ですから!そんなに時間は長くならないかと!」


「…検討します。」


「…よろ。」


「お返事待ってますね!」


麗華たちと別れ、やっと自宅へ戻ってきた秀人。明日からは喫茶店でのバイトも再開、日常が戻ってくる。


「最近ため息が多いような…幸せがどれだけ逃げたかな。」


「みゃー。」


「僕の幸せ、いつか実現してくれないかな。」

 

秀人は明日からの日常に備えて、早めに寝ることにした。ちなみに海の家で入った収入は、本棚とタマの餌代に使った。

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