人嫌い、計画する

「よし、一通り回れたかな。」


「今日はつまらないと思ってたけど、楽しめたわ。」


「…やっぱ…難しい。」


「先生の着眼点はさすがです!自分には分からないですが!」


「ぼ、僕としてはもっと和気あいあいな話が。」


秀人達は一通り見て回り、昼食の時間になった。最初は後ろにいた想汰だが、すぐにバレた。


「で、何でいるの?」


「あれ?先生のお友だちでは?」


「…大山…知り合い?」


「え?あなたたちの知り合いじゃないの?」


「わ、悪かったね部外者で…他に行くところもないんだよ。」


「好きにしたら。」


構う必要もないと無視することにした秀人、周りも気にしないようだった。


「どうも!自分は生山大山です!」


「…同じ…クラス」


「私はしなくてもよさそうね。」


「ぼ、僕は岸辺想汰だよ。」


「…そんな…キャラ?」


「分かってるよ…あの時は無茶しすぎたんだ。」


「はあ、何やら苦い思い出があるんですね!」


「あんまり騒ぐなら、僕は先に行くからね。」


「そうしましょ。」


秀人はさっさと先に進もうとする。麗華や大山は想汰の話を聞きながらついてくる。秀人のすぐ後ろには、女生徒がいた。


「まだ言ってなかったわね。姫野彩花ひめのあやかよ、よろしく。」


「僕は…本の後ろで見てるかな。高山秀人。」


「あなたはあっちの連中とは違うのかしら。」


「さあね。他人に興味ないし、勝手についてきてるだけだよ。」


「確かに、あなたから友達になることはなさそう。」


「気づいたらこの様だよ。もっと静かに、平和に過ごしたい。」


「ふふ、悩みは多いわね。図書室はいつも静かだから、休息に使いなさい。」


「お言葉に甘えるよ。」


「姫野さんですか!自分は」


「さっき聞こえたわよ、よろしく生山くん。」


「…蔵野…麗華。」


「ぼ、僕の名前も聞こえたろうけど…岸辺想汰です。」


「賑やかね。」


「静かに過ごしたいのに…」


「先生!どちらに行かれるので?」


「時計を見なよ。12時になったから昼食だよ。嫌な人は来なくて良いから。」


「お供します!」


「…行く。」


「ど、どうせここにいても楽しくないし…」


「そうね。今のうちに食べましょうか。」


秀人の願いは届かず、全員ついてくることになった。ため息を吐きながら、隣接するモールへと歩いていく。


「さて、なに食べようかな。」


「さすが大型モールですね!有名店も揃ってますよ!」


「…悩む。」


「任せるわ。どこだろうと、ご飯は食べれるから。」


「ぼ、僕なんかは意見言う権利もないね。」


「その卑屈さはある意味すごいよ。そうだね…僕は決まったよ。」


「自分、あっちの激辛食べてきます!また後で。」


「…チャレンジ…いい。」


「ぼ、僕は定食屋で過ごすよ。お一人様でも過ごしやすい。」


「じゃあさよなら。」


「…食べたら…集合。」


「ちっ。じゃあ各自食べたらここで。」


各自が自分の行きたい店にいった。仲良しグループなら、各自が主張を押し殺してリーダーについていくだろう。彼らの場合仲がいいかも怪しいし、自分を騙してまで揃って食べることを重視していなかった。


「さてと、軽く済ませるか。」


「行きましょう。」


秀人は近くのファーストフード店に入った。各自で、と伝えたのでてっきり1人かと思ったが、後ろには彩花がいた。


「あれ?こっち来たんだ。」


「どこでも良かったのよ。それに、チェーン店は外れないもの。でも意外ね、騒がしいところに来るなんて。」


「店内で食べればね。」


「…ああなるほど。」


秀人の狙いは持ち帰りで頼み、誰もいないだろう静かな場所で食べることだった。


「でも目星はあるの?」


「来る途中に見つけたんだ。」


秀人は持ち帰り注文でさっさと会計を終える。隣を見ると、彩花もそうしていた。


「ここで食べたら?僕が言うのもあれだけど、その方が早いよ。」


「ここで食べてたら、落ち着かないもの。」


「それは同意するよ。」


秀人が見つけた場所まで歩いていく。そこはモール屋上庭園、なかなかない珍しい場所だった。


「調べたの?この場所があるって。」


「いや、案内板に書いてあったから。この時間なら、庭園に来るより買い物客の方が多いから。」


「言えてるわね。」


2人は庭園に設置されたベンチに座り、食事を始める。


「これを食べたら、帰るまで3時間ってとこか。」


「そうね。ただ博物館を見終わった人も多いでしょう。」


「つまり、あとの時間はこっちのモールに集中するわけだ。」


「高校生に大型モールは、良い遊び場所ですもの。」


「かといって、もう見たいものはないし…少し離れるかな。」


「いいの?自由行動とはいえ、離れると怒られそうだけど。」


「時間に間に合えばいいさ。」


今後を考えながら食べ進め、午後に突入した。

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