人嫌い、逃げ回る
「待ってくださいよ秀人さん!いや、先生!」
「…にげる…よくない。」
「クソッ、どこまでくるんだこいつら!」
秀人はその時間まで普通に過ごせていた。朝はタマに餌をやり、登校してからは淡々と授業をこなす…麗華の話しかけを全てスルーして。
そして昼休み、こんなことになってしまった。
「…ご飯…たべる。」
「ああそうですか、どうぞ。」
「…一緒に。」
「えぇ、嫌なんだけど。ほらあっちの、君に熱い視線を向ける男たちと食べてあげなよ。」
「…やだ。」
その言葉を聞いた瞬間、後ろの男子たちは倒れてしまう。どうしても秀人と食べたい麗華にとって、他への興味はない。
「なんで僕なの…」
「…仲良く…なりたい。」
「僕にその気持ちがないから、難しいかと。」
「…壁は…高いと…燃える。」
麗華とやり取りしてると、クラスの扉が開いて見覚えある顔が現れた。
「本当にいた…奇跡だ。」
「あれ、昨日の猫いじめ野郎。どしたの?」
「自分、
「1人で?もう一人いなかったっけ。」
「あいつは他校なので、自分が二人分謝ります!」
「いやいいよ、この手帳もいらないから返すし。」
「そんなわけにいきません!先生には、大変なご迷惑を…」
「待った、先生ってなに?そして何故同じ学校だと?」
「昨日着ていられて制服で、同じ高校と分かりましたので。朝から各クラス回り回っていました!」
「…馬鹿なの?」
「先生というのは、昨日の馬鹿な行いを叱ってくださった…間違いを正していただけたからです!」
「先生はやめろ、僕は高山秀人。で?謝罪は昨日してたし、この手帳をもって信用しろって言ってたよね。」
「はい!しかし、それだけで信用してもらおうのは恥ずかしく…何か秀人さんのお役に立ちたいです!」
「じゃあ今後関わらないでくれると…」
「と!いうわけで、早速購買のパンです!今後は秀人さんに信用してもらえるよう、頑張ります!」
話を聞かないタイプ、自分の主張を押し通す人間というのは人の話を聞かない。この場合、どれだけ秀人が言っても大山は聞く耳を持たない。
「…二人で…仲良く…ずるい。」
「仲良しに見えたのなら、目薬でも指すといいよ。」
「さあ秀人さん!せっかくですし一緒に食べましょうか!」
「…秀人は…私と…たべるもん。」
「ああこれは失礼、秀人さんの彼女さんですか?」
「…彼女…えへへ。」
「おっ、二人とも仲良いね。是非とも僕抜きで食べといて!」
大山と麗華が話してる間に、秀人は逃走を試みる。しかし、この二人運動神経がよかった。
「ちょっ!待ってください!」
「…逃がさ…ない。」
話は冒頭に戻り、秀人はあてもない逃走劇をすることになったのである。
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