本日の主役

「あ゛ぁ!?」


美少女かつ王女が出してはいけない類の声を出すアン。


「おぉ、怖いねぇ。そんな怖い顔せずにさ。さっき見せてたような笑顔を見せてくれよ」

「その笑顔が誰に向けられたものなのかを考えなさい」


がるる……、と唸り声が聞こえそうな顔で威嚇をするアン。


「おぉ! そんな奴がいたのか? 小さすぎて見えなかったぜ!」

「あんたに比べたらそりゃ小さいだろうな」


ライヤも176センチと決して小さくはないのだが、目の前にいる男は2メートルはくだらないだろう。

そりゃそんな身長に比べたら世の人ほとんどは小さいだろう。


「お前みたいなやつがいくら払ったらこんな美女たちとデートできるんだ、おい!?」

「いくら積んでも彼女らに手が届かないお前とは違って、俺はいつでも彼女たちと一緒に遊べるんだよ」


ライヤも突然のことに驚いたが、怒っていた。

メンチきっているアンと変わらずにこにこと笑っているフィオナはともかく、ヨルが怯えてアンの後ろに隠れているからだ。

うちの嫁を怖がらせた罪は重いぞ。


「お前じゃ彼女たちを満足させられないだろうな!」

「残念、満足しているから彼女たちは俺の隣にいるんだ」

「その程度の身長じゃ、あっちの方もたかがしれてるだろ?」

「どっちの方を言ってるのか知らないけど、大きさが全てだと思ってるの? 童貞なの、お前?」


メンチきってたアンがぷっと噴き出す。

男に視線を向けられ、噴き出していた顔からサッとまたメンチをきり始める。

遅いし、わざわざその顔に戻す意味あんのか。


「言わせておけば随分な言いようだなぁ!」

「勝手にいちゃもんつけてきて話してもないのに貶された俺よりはましだろ馬鹿が」

「そこまで言うからには、俺の喧嘩を買ってくれるんだよな?」

「あー……」


突然歯切れが悪くなるライヤ。

そしてチラリと横を見る。

しかし、そこにいるはずのアンは既に数歩後ろに下がっていた。

あれ?


「アンさん?」

「キャー、コワーイ。タスケテライヤー」

「もうちょっと感情込めれないのかそれは」


普段なら率先してぶちのめしに行くところだが、アンは天才的な思い付きをしていた。

ここで退けばライヤに守ってもらう少女の気持ちを味わうことが出来る!


「なんだ? あれだけ言っておいて覚悟が決まってないとか言うなよ?」

「……覚悟を引き合いに出されたらちゃんと証明するしかないな」


覚悟なんてとっくに決まっている。

全員を妻に迎えると決めたあの時から。


「いいよ、やろうか」


ライヤの一言に、周りの人間は空気が変わったのを感じる。

男は腕に鳥肌が立つのを感じ、アンは笑みを浮かべる。

それは柔らかな笑みなどではなく、獰猛な笑み。

ライヤのスイッチが入ったのを感じたからだ。


「(久しぶりにライヤの本気を横から見れるわね)」


アンとライヤは都合さえ合えば朝に組み手を行っている。

家の庭で行っているレベルなので、アンが得意とする大規模な魔法は使えない。

どちらかと言えばライヤの土俵で戦うことになる。

だが、今やアンの魔法制御もかなりの高水準に達している。

その組手も全く苦にしないし、むしろ修練としては最上級のものと言えるだろう。

互いの手札を全てと言っていいほど知っている2人が同じ土俵で戦うのだから当然だろう。

欠点は、当事者同士のため第三者の視点でそれを見れないこと。


アンにとって有意義な時間が始まろうとしていた。





[あとがき]

お久しぶりです。

マジでサボりすぎです。

がんばれ自分。


ここまで読んで頂きありがとうございます!

良ければブックマーク、応援、評価、感想お願いします!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る