学校方針

「とまぁ、とりあえず掴みはいいんじゃないかなと」

「ライヤの先生としての振る舞いは何も心配してないわよ。聞きたいのは、生徒たちの事よ」

「あぁ、そっちか」


ひとまず1日を終えてアンへと報告。


「見た感じはいい子たちだったと思うよ。服装を見た感じ、家が良いとこの子たちばかりだったようだから、ちゃんと教育されてるんだろうな」


生徒用の黒ローブの支給もされていないので私服での授業になった。

ド派手なものを着ている生徒はいなかったが、ぱっと見でも質が良いんだろうなと思うような服が多かった。


「ライヤにいい顔しても何もないのにね」

「そうだけどさ……」


そういう言い方されるとなんか釈然としないよな。


「魔法のレベル自体はやっぱり低いよ。うちが割と簡単に勝てたのが納得だね」

「そうみたいね。こうしてみると、ヨルのお父様がどれだけ優秀な方だったのかがよくわかるわ」

「あは……。お2人にそう言って頂けて父も喜んでいるでしょうね」

「いや、マジだぞ。お世辞抜きで」


お世辞抜きで、諸国連合のトップがヨルの父であれば、王国はもっと苦戦を強いられていただろう。

彼は魔力制御というものを理解していたようだから。


「今日は来ていた生徒たちはちゃんと教育を受けてたから文字もちゃんと読めてたけど、もっと増やそうとして普通の家庭の子をいれると難しいかもだぞ」

「もちろんよ。乗ってる土俵が違うもの」


改めて感じたが、既に読み書き計算が出来ているのといないのでは受けられる教育に格段に差がある。

むしろ、読み書き計算こそが大事なので片手間で教えるわけにもいかない。

読み書き計算がわからなければ以降の勉強全てにおいて躓くことになるからだ。

だから、学園が生徒を貴族か否かでクラス分けしているのは差別ではなく区別であり、正しいことだと言える。

スタートラインが違うのだ。

通る道も違うものに決まっている。


「校舎も学園とまではいかずともそれなりの大きさにはするつもりよ。いずれズンバだけじゃなくて他の場所からも勉強しにこれるようにね」

「そうなると、学生寮も必要だな。王国と違って住人が色んな場所に分かれているから親元を離れて学びに来る人たちもいるだろう」

「そうね。とりあえず寮母はフィオナに任せようかしら」

「ご飯とか作るのかなー?」

「とりあえずはそこまでは求めないわ。揉め事が起きないようにするのと、起きたときの仲裁。あとは公共スペースの掃除くらいかしらね。よほど余裕があれば夕食くらいはお願いするかもしれないわ」

「おっけー。寮の広さとか、寮生の人数にもよるねー」


フィオナの就職先も決まったようだ。


「あと、クラブ活動だけどとりあえずは顧問無しで生徒の自己責任でやってもらうわ。顧問なんて名ばかりのものだと誰かさんが証明してくれているから」

「ほんまにすんません」


魔術クラブにはもうずっと顔を出していない。

クラブの練習もあのキャピキャピしていた状態からイリーナによって引き締められたみたいだし。

逆にあの先生がその練習の質に心配になるほどだとか。

そもそもがそんなクラブだったので驚きはしないが。


「生徒に任せて大丈夫か?」

「親に強く言うつもりよ。全く責任を持たないとね。ただ、いじめみたいなのが発覚した場合は別ね。私が管理する場所で調子に乗ったのを一生後悔させてやるわ」

「お、おぅ……」


赤い瞳が燃えるかのように煌めく。

言っていてもいじめをやるやつはやる。

最初の一人はそれはそれは苛烈な目にあうだろうな。





[あとがき]

休日のありがたみを実感してます。


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