第10話



扉をくぐるとそこは空き家の中で、窓際に美人が佇んでいる、あの人がイシュタル様がいってた案内してくれる聖霊だろうか?




扉が閉まる音でこちらに気づいた美人が近づいてくる。




「あなたが主神様のお客様ですね。私は主神様の眷属である夜の神の眷属の影の聖霊のシャドウと申します。」




「あ、はい、小中 満 です。よろしくお願いします。シャドウさん」




「私のことは呼び捨てで構いませんよ、そのかわり私もあなたのことをミツルと呼ばせていただきますので」




影の聖霊なのでだろうか、髪も目も黒い。日本人としては同じ黒い髪と目なのでなんとなく親近感がわく。


ただ、すっごい美人なので、アラフォーの女性としては何というか、こう・・・ね。


一緒に並んで歩くのに釣り合いが取れないのできっと僻まれるんだろうなぁ。


と思いつつ、まじまじとその美しい顔を見続けていたせいだろうか、シャドウが首を傾げて




「どうかされましたか?」




と不思議そうに聞いてくる。




「い、いえ、なんでもないです。すみません。」




そりゃ、ずっと顔を見られていたら不思議にも思うよね。仕方ないじゃないか。美人なんだから。




「では、店舗の候補地へ案内しますね」




そういって、空き家の出口へと向かうシャドウについて外へと出る。


扉の先は現代日本とは全く違う建物だ。どちらかというと西洋のようで年甲斐もなくキョロキョロと周りを見渡してしまう。




「こちらですよ」




そういって歩き出したシャドウの後ろを慌てて追いかける。


はぐれてしまっては恥ずかしいからねぇ。




しばらく街中を歩く、服装はファンタジーな世界そのもので、鎧や魔法使いのようなローブを着ている人もいる。自分と同じであろう人間や耳が長い人、身長の低い人、二足歩行の長身の豹や、ワニのような顔をした人などなど。


本当にファンタジーな世界だ。


建物も住宅とは別に目立った飲食店は少ない




「食材や雑貨を売ったりしている場所はこの近くにあるんですか?」




「この通りから一つ向こうの通りが商店が多く並んでいる通りになりますよ。いま歩いているこの通りは住宅がほとんどですが一部雑貨を販売している店もありますよ」




「そうなんですね、飲食店はあるんですか?」




「宿屋兼酒場ならありますよ、候補の場所からは離れているので酔っ払いが来ることはないとおもいますよ」




そんな話をしながら10分ほど歩いただろうか、前を歩いていたシャドウが立ち止まる。




「こちらです。」




そういって、建物の前で立ち止まる。


外観はレトロな感じでとても素敵だ。窓も大きく、中が見やすい。


レースのカーテンとか似合いそう!出窓もあるからなんか小物を飾ってもいいかもしれない。そんな風におもっていたらどうぞ、と扉を開いて中に入るように促してくれるのでおじゃましまーすといいながら中に入る。




部屋を半分に区切るように柱と壁があって机を2、3個置いて少人数を相手にするには良さそうだ。部屋の奥は台所のスペースのようで二階への階段もある。


二階は住居になるから客から二階が見えないようになっているのは有難い。




二階へもどうぞと言われたので上ってみる。部屋は三つある。


一つは洗面所兼浴室でバスルームがあるのがありがたい。


もう二つは空き部屋なので一つは自室になるのだろう。もう一つはとりあえず物置部屋として使用すればいいかもしれない。または雨の日の洗濯物を干すスペースにも使えそうだ。




二階から一階に戻るとシャドウがどうでしたか?と尋ねてくるので、お店の外観も中の大きさもいい感じで、歩いてきた限りだと周りにトラブルが起きそうな飲食店も少なかったのでここならいいと思う。


イシュタル様は何かトラブルがあった場合は別の街や国へ引っ越しもできるので安心してくださいねと言われているので、そこも心配しなくて良さそうだしね。




「ここにしてみようと思います。」




「はい、それでは店の内装はどのようにされたいか、後日改めて決めましょう。


いきなりすぐに決めるのは大変でしょうからね」




「お気遣いありがとうございます。」




この店の間取り図ですと紙を渡される。これにどのようにものを配置したいか帰宅したあとゆっくり考えながら書き込んで考えてみてくださいと言われたのででは、帰宅後ゆっくり考えよう。




「ところで、ミツル」




「なんですか?」




「その、ですね・・・」




シャドウが何か言いたげに、だが、言葉を区切る




「どうかしたんですか?」




「いえ・・・そうですね、ここは素直に言いましょう。ミツル、私も主神様が食していらっしゃったほっとけーけなる料理、食べてみたいのですが」




作ってくれませんか?と言われる


ホットケーキ、食べたいのか。それくらいお安いご用だ




「では、イシュタル様のところに戻ったら台所をお借りして、作りますね」




ここにはまだ台所も材料もないからね




「ええ、よろしくお願いします」




その後、イシュタル様のいたところに戻り、台所を借りて再びホットケーキを作れば、イシュタル様も食べたいということなので大量に焼きましたとも。


ついでに甘くないパンケーキも作り、目玉焼きやハム、ベーコンやスクランブルエッグなども用意し、おふたりは食べ方はとても綺麗なのだが全て綺麗に食べてくれました。






あと、イシュタル様からシャドウが今後、自分専属の担当になるそうで、何かあれば呼べばすぐに助けに来たりしてくれるそうなのだが、あれだね、試食担当になってもらおうと思いますよ。彼もどうやら食いしん坊キャラみたいなのでね。








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