第七話:秘密の島

 それから一週間後、私は約束の場所、あの花火大会が行われていた浜辺へ来ていた。そして、昼過ぎ――。

 太陽が今日も暑く照り輝いている中、干潮となり、向こうにある星屑山ほしくずやまへ行く為の道が開いた、いわゆるトンボロ現象というやつだ。私とシグはそこを全速力で駆け抜け、向こう島へ渡ると島の真ん中にある星屑山の頂上へと向かった。木々を抜け、小川を渡り坂道を登る。そして頂上にある小さな祭壇へ着いた。祭壇の中央に立つ。私は時計へ目をやる。あと少し。――五、四、三、二、一、……。


「お願いッ!」


 私とシグは空へ向かって祈る。すると、水平線上の薄い雲に美しい虹色の帯が現れた。私とシグは顔を見合わせると、首にかけていたペンダントを掲げ、虹の帯に重ね、ガラスから外の世界を覗き見た。すると、中の歯車がカチカチと音を立ててゆっくりと回りだし、気づいた時には、ペンダントが宝箱のように開いていた……。中には、一つの鍵と小さな紙切れ、そして丸く透明なガラス玉が入っていた。


 *俺の秘密基地、アオならわかるだろ?*


 と紙片には書いてある。私は、その場所に心当たりがあった。星屑山を少し降り、木々が生い茂る小道を抜けた先に、その小さな小屋はあった。


「すごい……。こんな所に小屋が……!」


 シグはすっかり感心しきって小屋の周りをグルグルしながらパシャリパシャリと写真を撮っている。私は先程の鍵を扉に差し込み、クルッと回す。ギィ……、ガタン――。扉を開くと、小屋の中には素敵な空間が広がっていた。壁には様々な美しい写真が額縁に入れられて飾ってあるし、床にはお洒落な絨毯じゅうたんも敷いてある。部屋の真ん中には、テーブルが置かれていて、小さな宝箱のような物も置いてある。


「シグ!こっち来て、もしかしてこれ、かな……?」


「うん、そうかもしれないね。……でもこの箱、鍵がかかってるみたい」


 私達は辺りを見回してみるけど、特に鍵のようなものはない。でも、ここまで来て何もないってことは、無いはずだと思う。その後、部屋中を手分けして探し回ったが、結局何も手掛かりは得られなかった。私は疲れてしまい、傍にあった壁にもたれかかった。そして、次の瞬間私は上下逆さまの状態で薄暗い部屋にいたのでだった――。

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