第六話:一筋の光

 ――ピンポーン。


 無機質に家のチャイムが鳴り響く。


 ――ピンポーン。


 二度目のチャイムが鳴り響く。家に誰もいないのか……。憂鬱な気分を心にしまい私は重い腰を上げ玄関まで歩いていった。


「はーい、どなた様ですか?」


 ドアを開けるとそこには、見慣れた人がいた。クラスメイトの上条時雨かみじょうしぐれだ。


「突然おしかけてごめんね!葵さん、ちょっと話があるんだけど……」


 私は彼と近くの公園まで行き、ベンチに腰をかけ、話を聞くことにした。


「いきなりなんだけどさ、今から話すこと

 信じてね――?」


 そう真面目な顔つきで時雨くんは話し始めた。マサは私と花火大会に行く日の前日、時雨君にあることを頼んでいた。それは、


 *アオと一緒にこの願いを叶えて欲しい*


 というもので、一枚の紙を時雨君に託していた。その紙には、小さな地図が書いてあり、

 ×印が中央の辺りに書いてある。


「ねぇ、葵さんこの場所に心当たりある?」


「ちょっと待ってて――」


 そう言って私は立ち上がり、家へ向かって走った。そして部屋に入り、引き出しを開ける。あの日からずっと開けていなかった、マサからのプレゼント、袋の包みをそっと開けてみる。中には長方形の箱が入っており、箱のリボンをほどくと、中には美しいペンダントがあった。ハート型の透明なガラスが付いていて、周りが金色で縁取られている。ガラスは、光の反射でキラキラと虹色に輝くとても美しいペンダントだった__。カードも一緒に入っている。私はそれを丁寧に首にかけると、時雨君のもとへ行った。


「これ、マサにあの日に貰ったの。何か、手掛かりになったりするかな――?」


 それから数日、シグと私は色々なことを話し合い、調べあった。そして時々、カラ兄の喫茶店で会議を開くことにした。


「アオ、これは僕が調べたことなんだ

 けど――。」


 そう言ってシグは、数枚の写真を取り出した。それは、マサが写真部で使っていたカメラのSDカードの内部に記録されていた写真のようだ。虹の写真……、日の出、海、そして、いつの日かマサと駆け抜けたエンジェルロードの写真。

 何かが私の中で弾ける。バチバチッ……、マサとの思い出が脳内を駆け巡る。そして、私は思い出した。


「シグ、わかった。私、この場所わかったよ……!!」

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