第三話:再会
次の日の朝、私はいつもより早く起きた。朝ご飯を食べて、洋服に着替え、ちょっとお洒落をして少しドキドキしながら昨日の、あのお店にやって来た。
カランカラン……。と優しい音を立ててドアが開く。
「いらっしゃい、葵さん、待ってたよ」
と、烏羽さんが出迎えてくれた。私は、昨日と同じ席に案内される。するとそこには、くせっ毛の髪で、背がスラッとした男の子が座っていた。
「え、えっと、
勇気をだして聞いてみる。するとその人は、
「うん!話は聞いたよ、君が
と落ち着いた優しい声で話してくれた。私は、ほっとして朝凪君の隣に座り、烏羽さんに質問してみた。
「ところで、烏羽さん。私達を会わせたかった理由って何かあるんですか?」
「あぁ!言ってなかったか、マサ、お前ちゃんと説明しろよー、俺は料理準備しねーと。だから、あとはヨロシクー!」
と言い、逃げるように厨房に行ってしまった。
「ったく、カラ兄の野郎……。」
と朝凪君は少し怒って言ってたが私の方に顔を向けると突然、土下座をしてこう言った。
「葵さん!俺に勉強を教えて下さい!!」
「えぇっ!?」
私は驚きのあまり椅子から立ち上がってしまった。周囲の人々が何事かとこちらを見ている。
「と、とりあえず座って、詳しく話を聞かせてくれるかな……?」
朝凪君はひょこっと立つと周りの人に苦笑いしながら会釈をして椅子に座った。そして状況を話してくれた。今度の期末テストで一教科でも赤点をとると、塾に入れられてしまうという理由らしい。要は、夏休みには写真部で色々な場所に写真を撮りに行く予定があるから困るということだった。
「なるほど……。私も家で勉強するの飽きちゃったし、私でいいなら、ここで教えるよ」
「マジ!?ありがとう!葵さん!」
朝凪君は私の手をとって喜んだ。――とそこへ烏羽さんが来た。
「じゃあ、明日から2人で仲良く勉強するんだね」
烏羽さんはニヤニヤしながら私達を見ていた。朝凪君は、顔を赤らめながら
「か、勘違いするなよ、カラ兄!」
と言い烏羽さんにパンチをくらわせた。アオハルだなー、なんていいながら彼は厨房まで戻っていったっけ。
それから私達は、学校が終わってから毎日のように、ここで勉強をした。たまに、烏羽さんが差し入れでケーキを持ってきてくれたりして、和やかに楽しい時間を過ごしていた。私と朝凪君も日を追う事に段々と仲良くなりいつの間にか、お互いに、アオ、マサ、と呼び合う程の仲になっていた。
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