第一話:穏やかな日々

 ♪キーンコーンカーンコーン♪


 チャイムが鳴り響く。――ハッ!


 もうすぐ期末テストがある為、勉強をして夜寝るのが遅くなっていた。そのせいか、少々寝不足気味だ。まぁ、窓側の一番後ろの席だし、先生には気づかれないのがラッキーなんだけれど。

 目を擦りながら、窓の方へ視線を向ける。今日は、窓から差し込む日差しが一層強い。


 私は、ぼーっと窓の外を眺める。太陽が今日も地上に光を届けていて、校庭にある植物達はみな、生き生きときている。

 私が外を眺めている間にも、クラスメイトの殆どは部活に出る準備をして着々とクラスを出ていく。私も慌ててバッグに教科書を詰め込み、廊下を小走りしながら、部室へと向かった。


「あ!アオー!今日、せんせー出張だから

 部活ないってさー!」


 美術部の副部長でもある天沢あまざわめいがひょこっとドアから顔を出し、残念な知らせを告げる。そしてあーぁ、なんて言いながらエアコンの効いた美術室へ入ってきた。

 そして、私の隣の席へ腰掛ける。


「そうなんだ……。メイは、この後どうするの?」


「んー。今日は帰って勉強しようかなぁ。

 期末近いし、そうじゃないと赤点とっちゃうよぉ」


 はぁーっ、と大きなため息をついてメイは言った。


「アオー、今度勉強教えてー!!」


 メイは項垂れ、床に大の字に転がる。まるで小さな子供みたいだ。


「メイ、起きて。また月曜日教えてあげるから、ね?」


 私はメイを揺り起こすと、バッグを持ち


「またね」


 と声を掛けて小さく手を振り、美術室を出た。


「アオォォ、冷たいよぉぉ。」


 なんて声は聞かなかったふりをして。


 外は、相変わらず日差しが強く眩しかった。太陽の光が容赦なく、私に降り注いでくる。グラウンドの方からは、運動部の掛け声が聞こえる。


「あぁ、暑いな……。今日は寄り道でもして

 ゆっくり帰ろうかな、家に帰っても勉強しろって言われちゃうし……」


 そんなことを一人考えながら校門を出た私は、寄り道をしてゆっくり家に帰ることにした。

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