間章(A)
漆黒の一面に、雲と星屑が垣間見える上空。
男は硬く分厚い鱗の上で、強い風に吹き付けられながらも手慣れたようにアイ・ジーを起動させる。
「…………コードネーム・クレハ。業務連絡。
先程、永聖軍団のAI、八七三名の死亡を確認しました。途中、要注意危険AIである
『……セブン。そうか』
「引き続き、準備が整い次第、作戦を再開します」
『いや、それはもういいわ、クレハくん』
「? どういう」
『プランAから、プランDに移行して』
動揺からか、クレハと名乗る男の足場が少しぐらつく。
「失礼ながら申し上げさせて貰います。プランDは本目的の最終工程であって今は、物事を順に運ぶべきかと」
『――黙れ。クレハくんはさぁもう少し自分の立場を考えてくれないかなぁ。速やかにプランDへと遂行しろって言ってんだけど‼』
相手の軽い口調には苛立ちを感じ、クレハはギュと下唇を噛む。
「かしこまりました。作戦をプランDへとシフトします」
隙間雲から垣間見える上弦の月は、空を飛翔する龍と男を不気味に照らしていた。
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