第14話野中の証言

やって来た警官に下にいるテロリスト達の事を話した野中は救急隊に保護され病院へ運ばれた。岩山も駆けつけ野中に何があったかを聞いたが、ボロボロな姿を見て心配してくれた。野中は肋骨を折る重症で全治1ヶ月と診断された。連絡を受けた刑事達は新宿駅の地下で倒れている男達を直ぐに逮捕した。男達は殆どが軽傷だったがうち一人は刑事達が驚くほどの重傷を負っていた。刑事達が来て倒れて気絶していた者たちは起こされ重傷を負って気絶していた男も刑事達が来て気がついたのだ。軽傷者達は皆すぐに警官達に連行されて行ったが、重傷を負った男は救急隊員に運び出された。男は自分で立つ事も歩く事も出来なかった。ただうわごとの様に何かを呟いていた。

テーブルの上にあった時限爆弾に気付いた刑事に連絡を受けた爆発物処理班が到着して処理をしようとして、その爆弾が機能していない事を確認した。とにかく謎だらけだったのだ。

この事件は早々に所轄の手を離れ公安の管轄下に置かれることになった。

公安によって新宿駅地下テロ事件として捜査が開始された。重傷を負っていた主犯の男の名はモハメッド・ハサンという中東のテロリスト集団の1人だった。そのほかの軽傷で捕まった者達は全員が東アジア出身で、ある宗教を信仰するうちにハサンと知り合い今回のテロを実行する為に集まった者達だった。公安警察は全員の事情聴取を行なったが、軽傷者達は何が起こったかもわからないままだった。ただ男が現れ一方的にやられたと供述した。重傷を負った男は精神が崩壊したのか悪魔だ悪魔が来たとずっと呟いているだけだった。彼らの証言だけでは全く何があったかわからなかった。野中にも事情が聞かれた。

野中の証言によると、非番で中野の駅近くにあるカフェでコーヒーを飲んでいた時、隣の席に作業服を着た外国人が座ったので物珍しく見ていたのだそうだ。近くの工事現場の人達かと様子を見ていたのだが、しばらくするとボストンバッグを抱えて出て行った姿を見て違和感を感じたのだ。その作業員は服装は作業服を着ていたが履いている靴がまるでスーツを着る人が履いている様な感じだったのだ。不審に思い思わず後を追ってついて行くと、男は中野駅へ向かいそのまま新宿方面へ向かった。新宿駅で降りるとボストンバッグを大事そうに抱えてそのままあの扉の奥へ消えて行った。男を追って階段を下りて行ったところで捕まったのだ。幸いどこに置いて来たのか警察手帳を持っていなかった為身分がバレる事は無かったらしいが何故尾行していたのかを執拗に聞かれたらしい。その後は暴行されて意識が朦朧とする中、今度は覆面姿の男が現れ奴らを叩きのめすと姿を消した。との事だった。爆弾があった事も気が付かなかったし覆面姿の男に関しては仲間割れではないかと思ったと話した。理由については外国語で話していたと証言した。

公安警察による事情聴取は何度も行われそのたびに同じ証言を繰り返す事になった。

逮捕した犯人達からまともな証言が得られない公安は執拗に証言を求めた。

野中は蓮の事を話さなかった。何故話さなかったのかは野中自身わからなかった。警察官である自分が嘘の証言をしたのだ。でも、野中は自分自身それで良いと思った。理由は自分でもわからなかったが信念を曲げても蓮を護りたいと思ったからだ。それと同時に彼に何があったのか知りたいと強く思う自分がいた。

















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