第10話聴取
警察へ向かう車の中、狙撃した件で公安が動き出した事を聞いた。
「中々動くのが早かったな。どうせ痕跡が無いからうやむやになって終わるだろうけど?ご苦労な事だな。」そう言ってアランを見ると
「日本の警察も優秀ですからね油断は禁物です。」
アランが蓮をたしなめるように言った。
「お前のやる事に抜かりはないだろ?」スマホの画面をいじりながら片目だけあげアランを見やった。
「私は隙のある人間ですからね、貴方と違って。」運転しながら返してくる。
「あ、それ酷くない?俺だってちゃんとした普通の高校生なんだけど?」
「誤解のないように言っておきますけど、普通の高校生だったらあんな状況で横で人が死んだらまず平気ではいられません。」
そんな話をしていると警察に到着した。
蓮達は取調室ではなく応接室のようなところへ案内され中に入ると事件の後蓮達に対応した刑事達が待っていた。二人はそれぞれ岩山、野中と名乗り早速聴取を取られた。
「御足労お願いし申し訳ないですが、あの日の事を少しだけ聞かせてください。」
聞かれた内容のほとんどがありきたりなもので、あの日何時くらいに銀行に入ったかや蓮が人質になった経緯などを聞かれた。
蓮は銀行へ行った時間や理由などは別に隠す事など何もないので正直に答え人質になった理由についてはよくわからないがと前置きした上で僕が一番近くにいて高校生だったからじゃないかと思うと答えた。二人の刑事達もその話については問題がないと見て大変だったねと労ってくれた。岩山と名乗った刑事が聴取の終わりを告げ蓮が席を立とうとした時野中と名乗った刑事が蓮に声をかけた。
「蓮くん、一つ質問してもいい?」
「はい。」
「犯人が射殺される直前、君何かに頷いたの覚えてる?」
蓮は一瞬だがハッとしたがそれを顔には出さずなんのことかわからないと答えた。
「横で犯人が射殺されたのビックリしたでしょ?」
「すみません。俺あの時なんか凄く怖かったの覚えてるんですがその他のことはあんまり覚えてません。」そう言うと岩山の方が野中に向かってもうやめておけという仕草をしたので野中は引き下がった。
そこでようやく蓮は解放されてアランと共に警察署を後にした。
蓮達が帰った後岩山は公安の件を野中に話した。
「大山を射殺したやつは相当な腕の持ち主らしいぞ。あそこら辺一体大山の頭を撃ち抜ける場所には全てスワットが配置されていたらしい。公安が調べた限りスワットが配置された場所以外で頭を撃ち抜ける場所は限られてくるらしいがどこも該当しなかったんだとさ。場所が違うかもっと遠くから狙ったか連中も判断が難しいらしい。」険しい顔でそう話した。野中もあの時のことが凄く気になりはしたが
高校生の蓮にあの事件に何か関わりがあるとは思っていなかった。一通り聴取も取れたので後は報告書にまとめるだけだった。
そうして一つの謎を残したままこの事件は解決した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます