第8話地獄よりの生還
地獄のような場所で生きてきた蓮はそれまで生きる事しか考えていなかったが12歳位になると、ここから逃げ出したいと思うようになっていた。
そんな時蓮のいるアジトに二人の男が連れてこられ、見張りが付き閉じ込められた。一人は蓮を育てた男と同じくらいの年でもう一人は若い男だった。
今までここから逃げる事など考えた事も無かったが逃げるだけの力があると思った。そこで二人を連れて逃げる事を決断した。決めた後の行動は自分でも驚くほど早かったと思う。それから二日後の夜そこのアジトを全滅させて二人を連れ逃げたのだ。5歳からの7年間蓮はそこで育った。何の娯楽もなくあるのは生か死だけだった。蓮はそこを一切の情けも容赦もなく全滅させたのだ。最後にあの男の所へ行った時男は黙って首を差し出した。蓮は最後に一つだけ聞いた。「何で俺だった?あの時俺も殺しておけば良かったじゃないか?」
最後だとわかった上で男は蓮に
「あの時お前は泣かなかった。お前の父親が殺されても妹が殺されても涙一つ出さなかったからだ。」
そう言って口の端に笑みを浮かべた。
だから蓮は迷う事なく男の命を絶った。
それからアラブ首長国連邦へ入り日本大使館へ連絡して日本に帰ってきたのだった。実際日本に帰ってきたのは15歳だったから3年の間色々あったのだけれど。
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