第6話過去
初めて人を殺したのは5歳の時だった。
蓮がまだ5歳の頃だった。蓮はまだ幼く何もわからないまま両親と妹と共にシリアへ来ていた。後からわかった事だったが両親は共に考古学者でシリアの遺跡発掘の為来ていたのだ。
その日は自分の誕生日で両親は発掘作業をして休み誕生日のプレゼントのかわりに何が欲しいと聞かれたから両親の仕事場に行きたいとせがんだ。両親は俺と妹を連れ発掘現場に連れていってくれた。
発掘現場で出土した物を見せてもらったり他の人たちが作業しているところを見たりとても楽しかった。妹がぐずり始めた為そろそろ帰ろうとしていた時テロリストの一団が現れたのだ。
テロリストたちは遺跡にいた人達全てを1箇所に集めて女と少年達だけを残して1人ずつ殺していった。蓮の父もテロリストによって殺されたのだ。
テロリスト達は蓮の母親が妹を抱いているのを見ると母親の前で妹の喉をナイフで掻き切り、まるで物か何かを棄てるように放り投げたのだ。それを目の当たりにした母はその場に崩れ落ちた。
その後、蓮以外の少年達は何処かへ連れて行かれ残された蓮と女達は車に乗せられ知らない場所へ連れて行かれたのだ。蓮はしばらくの間食事も与えられず光が一切無い場所に閉じ込められていた。どのくらいそこにいたかはわからなかったがとにかくお腹が空いて仕方なかったのを覚えていた。お腹が空いていた時、何日かに1度だけ食べるものが与えられた。今まで見たことも無いような物だったが与えられたそれを貪るように食べた。
ある日、男が女を連れてやってきた。蓮にナイフを渡し女の首を刺せと命じた。蓮は命じられるがままナイフを受け取ると女の首に突き立てた。それを男は満足げに見ると蓮をその場所から出したのだ。後から思ったのだけれど蓮が刺したのは母だった。
その時はもはや何も考えられなくなっていた。生きる事だけしか考えていなかった。
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