第5話話題の高校生
「おい!野中何ぼーっとしてるんだ?」後ろから肩を叩かれビックリした。野中は岩山に昨日の事を話し自分が感じたままを伝えた。
「なんか、わからないんですけどここの辺りがモヤモヤするんですよ。」そう言いながら胸の真ん中に手を置いて叩いた。
岩山は本庁にいる友人にあたってみると約束してくれた。
この後、野中と岩本は昨日の事後処理に追われる事になった。事件は被疑者が死亡した事により即座に解決となったが大山が妻を殺した裏付けをとって被疑者死亡のまま検察に書類を送らなければならないので妻の司法解剖に立ち会う事になっていた。
「大山はなんで自分の妻まで殺してしまったんでしょうか?俺、はっきり言って訳わからんのです。」
岩本は私的な意見だけどと前置きした後
「大それた事をしようとして、失敗したら自分の妻まで大変な事になるってわかってたからじゃ無いのか?俺なら離婚するなりなんなりするけどな。」
そう言って苦い顔をした。
新宿代々木公園近くにある高層マンションの一室に朔田 蓮の部屋があった。この部屋に保護者のアランと同居しているのだ。
アランと蓮は昨日の事を話していた。
「貴方はなぜ人質にされたままあんな事になってたんですか?貴方ならあんな男どうにでもなったでしょうに。」
「お前の言うようにどうにでもなったけど、ここは日本だぞ!ただの高校生が動くわけにいかないだろう。それに、表に出ればお前が何とかしてくれるだろうことはわかってたからな。」
年上のアランが蓮に対して丁寧な口調で話すのに対し蓮はどこか上から話すようだった。
「今日はこのまま学校は休んで良いそうなので大人しく家にいて下さいね。外はマスコミでいっぱいなんで。私は今から事務所へ行って残りの仕事を片付けて来ますね。」
そう言って出かけていった。
蓮はテレビをつけて何気なく見ているとどのチャンネルも昨日の事件のことと自分についての事ばかりだった。報道されている事はほとんどが事実(蓮が作ったストーリーではあったが)だったので、どこか他人事のように日本のテレビ局は優秀だな、などと思った。その報道を聞きながら自分の幼い頃の事を思い出していた。
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