応援コメント

Episode.4-20」への応援コメント


  • 編集済

     すっかりご無沙汰してすみません、ということを毎回言っている気がします。すみません。
     最近どうにも、文章というか文芸全般に対して気持ちが定まらないんですよね。特に本作『LA』の場合、読んでいる最中に違和感を覚えても、後々そこに理由や必然性があったと明らかになることが多いと思いますが、Web小説ではなく紙の小説なら、こういうことはよくある気がするんですよ。だから、僕ごときがあまり頻繁に、細かいところに口出ししても仕方ないのではないか、という思いがあります。ただ、それで読まなくなるのもそれはそれで寂しいというか、セルフで我慢大会を開いているような不毛さを感じるのが悩ましいところです。結局、読んでしまうと何か伝えた方が良い気になって、こんなものを書いているわけです。
     先にもう1つ謝罪しておきますと、僕が最近書いた短編集『異世界の昔ばなし』の『ダンジョン・テスト』に登場する地名・人名(※追記:の語感)が本作Episode.4のそれらと被っているのですが、これは別に『LA』を盗み見て参考にしたわけではなく、全くの偶然です。とはいえ、執筆も公開もこちらの方が後なので、不勉強ゆえに被ってしまったことを謝らせていただきます。

     Episode.4はまだ終わっていないようですが、今のところの感想としましては、話の流れがすっきりしていて、とても読みやすかったと思います。
     正直、探知魔法を破壊する話、鋏を持った生物と対峙する話が始まったときのそれぞれで、「この話でこの章の最後まで行くのかな」と思って身構えたのですが、主人公が必殺技を発動したときにちゃんと決着がついてくれて安心しました。場所や時間もすんなり動いてくれるので、疲れや退屈を感じさせない構成だったと思います。今までが悪かったわけではありませんが、さすがに今回も同じ流れだと、いつまで経っても話が進まない印象になっていたかもしれません。

     今回は回想を使って仲間たちと接続することなく、主人公が1人で片付けていて、成長を感じました。以前にも書いた通り、名前がないというのは「名は体(たい)を表す」の「体(たい)」がない、つまり、人間として自分を確立できていないということでしょうから、主人公の言動はどことなく、ベクトル(信念の方向性)だけあって座標(具体的な根拠や対象)が定まっていないような印象なのですが、仲間たちとの接続を経る中で、ある程度、自分やその立脚点がはっきりしてきたということでしょう。凶暴化した動物の動きを止めるためにレオンに協力してもらう必要はありましたが、対処方法が確立できたので、今後、少なくとも精神面では楽ができそうですね。
     クルーエルアの王国騎士にあたる存在として、ドラバーンの闘士が登場する展開にはワクワクしました。地域差があることで作品世界に奥行きが出ますし、闘士とはどんな人々なんだろう、他の国はどうなんだろうと期待が高まります。「お前、なかなかやるな」、「あんたもな」みたいな認め合ったやり取りをしているのも楽しかったです。今までは格下の(はずの)同国人やトラウマを刺激する女性ばかりだったせいか、主人公は何かにつけて気遣ったり守ったりそれを宣言したりしていましたが、今回は闘士という同格の男、しかもレオンが勝気な性格のおかげで、スムーズに共闘する流れになってくれて良かったです。欲を言うと、主人公が王国騎士の仲間たちを思い出したり、レオンに他の王国騎士の面影を見出したりするシーンがあっても良かったかもしれませんが、なくても不自然ではないと思います。そこの文字数が増えすぎると戦闘中なのに場面が間延びするかもしれませんし、そうなるくらいなら書かない方が良いとも思います。

     今の僕は自分の文章感覚に自信を持てていないのですが、一読したところでは、会話文を中心に、少し段取りが悪いような気がしました。同じ話題や論点でぐるぐるしていることが多いように見えるので、情報を出す順番や伝える際の優先順位を整理すれば、さらにスムーズな流れにできるかもしれません。
     とはいえ、Episode.3までと比べると(失礼ながら)見違えるようにすっきりしていて、場面や出来事が丸ごと不要だとか、緊張と緩和がなってないとか、読んでいて疲れるといったほどの印象は受けません。この回りくどさが切迫感や緊張感をリアルに表現していると好意的に解釈してもいいんじゃないか、という気もしてきます。実際、話の本質に切り込みたい側と、切り込ませたくない側がせめぎ合っているような場面も多く見受けられます。その時々の必死さや臨場感という観点から、これはこれで良いというか、無理をしてまで削るべきものではないようにも思います。

     あと気になるのは、主人公と他の人物たちの間で報連相がなってないことです。無口だったり、秘密主義だったり、時間がなかったり、警戒していたり、不親切だったりと色々ありますが、たとえば、エルザはランバークがどんな村か移動中に話してくれてもよいでしょうし、イーマは主人公に偽名の使用を勧める理由を言ってくれてもよいと思うんですよ。一言二言添えたところで彼ら彼女らに不利益や負担はないはずですし、むしろ言わなかったことで皆そろって面倒な事態になっています。主人公はキレていいんじゃないでしょうか。
     とはいえ、僕が気にしすぎているだけで、目くじらを立てるほど不自然ではないのかもしれません。新エヴァの『Q』だって似たようなことを言われていますし、創作物にこういう部分は付き物でしょう。リアルでも、若い内は皆そういうものかもしれません。

     細かい点ですが、あと3点ほど。
     「名前のない英雄」について。
     本名が分からない(当時の人が名前を付けなかった)ことと、後世まで名前がついていないことは別だと思います。たとえば、『蜻蛉日記』、『更級日記』の著者は本名不明ですが(平安時代の女性はまともに名前を付けられなかったとも聞きます)、便宜上、藤原道綱母、菅原孝標女と呼ばれています。このように、当時の本名が明らかではなくても、後世の人は何かしら呼び名を付けるものです。主人公に名前がないのは本作のこだわりなので構いませんが、昔の「名前のない英雄」には、後世の人々が何らかの呼び名を付けていると考えるのが自然でしょう。
     とはいえ、別にこれは本作の筋書きに問題があるということではありません。他の国では「救世主」、「無欲の勇者」のようなポジティブな名前で呼ばれているものの、ドラバーンの人間は彼(もしくは彼女)に良い印象を抱いていないから「○○(地名)の戦士」、「××(時代)のあの人」的な呼び方をしていて、主人公が「名前を持たない騎士」と名乗ったことに怒って「名前のない英雄気取りか!」、みたいな話にすれば済むと思います。
     要するに、「名前のない英雄」といったところで全く名前がないのではなく、後世の人々はあれこれ名前を付けているという要素が欲しいわけです。それさえあれば、このシーンは何の違和感もありません。

     エルザが村に残る流れについて。
     イーマがエルザに村に残ることを求めたのは、建前上は(主人公に対する)人質にして闘技大会の賞金を持ち逃げさせないため、本音は自分がエルザに師事するためだと思いますが、自分より強いことが確実で真意が分からない術師を(グレイという「化け物」と共に)、村に残すこと(しかも主戦力のレオンに村を離れさせること)はあまりにもリスキーな気がします。もちろん、「主人公はレオンを助けた善人だから、連れのエルザも(根本的には)善人だろう」と推測した可能性もありますが、レオンが詳しく話していないだけで、状況的には、主人公は(能動的にレオンを助けたのではなく)自分とエルザたちの身を守っただけとも解釈できますから、読者的には納得感を得にくいかもしれません。もしイーマが主人公(とエルザ)を深く信用しているなら、それを示唆する描写や台詞がもう一押しあった方が、分かりやすくはなると思います。

     グレイを置いていくことについて。
     当事者たちの選択としては何も不自然ではないと思います。ただ、読者視点の結果論としては、グレイと別れるという選択肢があるなら、ドラバーンに来る前に別れた方が良かったのではないかという引っかかりを覚えます。グレイがいなければ目立つこともなく不審に思われることもなく、比較的まっすぐな道を選べたはずだからです。もちろん、ちゃんと読んでいれば、グレイのおかげで移動の時間と労力を大幅に節約できたと分かりますが、正直なところ、遠回りしたせいで闘技大会という更なる遠回りを強いられた印象も拭えません。僕はそうでもないですが、ここまでを一気読みした読者は、洞窟、ランバーク、闘技大会と、回り道ばかりしている印象を抱くかもしれません。分かりやすさの点では、グレイのおかげで諸々のコストを抑えられたということを、別れる前にもう一度強調してもらった方が良い気がします。

     大体こんなところですが、Episode.4はまだ終わっていないようなので、これから補足が入って僕の指摘が的外れだったと分かる、ということは充分あり得ると思っています。現時点では読者からはこう見えている(かもしれない)という、参考の1つくらいに思っていただけると幸いです。

    作者からの返信

    あじさい様

    コメントいつもありがとうございます。

     投稿ペースは遅く、文章も読みにくい私の作品を読んで下さっているだけで感謝の言葉もありません。謝罪なんて勘弁して頂きたいです……(笑)

     無茶苦茶に見えるかもしれませんが、『LA』において、人名及び地名には命名規則があります。人名は王国騎士たちの名前が分かりやすいですかね。地名にも規則はありますが、こちらはヒントではなく答えになってしまうのでここでは伏せさせてください。キャラクターの名前が被った件については、単なる偶然なので、それこそ気になさらないでください。

    >読んでいる最中に違和感を覚えても、後々そこに理由や必然性があったと明らかになることが多いと思いますが、Web小説ではなく紙の小説なら、こういうことはよくある気がするんですよ。
     指摘されてみて、「そういえばそうだな」と私も思いました。最近の紙の小説は分かりませんが、Web小説では『含み』や後々明らかになる『トリガー(もしくはフラグ)』と呼ばれるものはそれほど見ないような気がします。正直に言うと、私もこれを書き出した当初にそういった違和感を感じました。Web小説では、10=□+□よりも、2+8=□といった明瞭な問題の方が好まれる傾向があるのかもしれません。

     Episode.4は今のところと言いますか、、、しばらくはサクサク話が進んでいくとは思います。ただ、危惧されているような展開も入ってくる可能性はありますので、その点についてはご留意頂けますと幸いです……。
     あじさい様も書いて下さっていますが、本作のタグにもあります通り、『成長』が一つのテーマとなっております。主人公は確かに十二分に強い剣士(騎士)ではありますが、記憶がないという点で他者より経験に劣ります。その劣っている点を、接続による他者との繋がりを経て人生を追体験させ、人として成長させたいと思っています。あじさい様が書いて下さっている通りですね。
    >仲間たちとの接続を経る中で、ある程度、自分やその立脚点がはっきりしてきたということでしょう。
     少しずつですが精神的な脆さも克服されつつあるため、地の文における主人公の心情表現もスッキリしていくのではないかと思います。

    >欲を言うと、主人公が王国騎士の仲間たちを思い出したり、レオンに他の王国騎士の面影を見出したりするシーンがあっても良かったかもしれませんが、なくても不自然ではないと思います。そこの文字数が増えすぎると戦闘中なのに場面が間延びするかもしれませんし、そうなるくらいなら書かない方が良いとも思います。
     実は構想の段階では書いておりました。しかし長くなりそうだったのでバッサリ切り捨てました。レオンは性格的にはディクストーラに近い傾向があります(年齢は圧倒的にレオンが上)。そのため、共闘の際にディクストーラを思い出してもおかしくはないのですが、何度も彼を出すのもあれなのでその描写は完全になくしました。

    >今の僕は自分の文章感覚に自信を持てていないのですが、一読したところでは、会話文を中心に、少し段取りが悪いような気がしました。同じ話題や論点でぐるぐるしていることが多いように見えるので、情報を出す順番や伝える際の優先順位を整理すれば、さらにスムーズな流れにできるかもしれません。
     自分でも見直していて気付いていましたが、消せなかった、、、もしくは続きの構想に時間を使った感じです。消せなかったというのは、単にその部分を消して不自然にならないように組み直す余裕がなかっただけです。。。Episode.4-18とEpisode.4-19は同じことを繰り返しているのは自分でも気付いていました。これはいずれ修正したいなと思っています。改めてご指摘有難うございます。

    >あと気になるのは、主人公と他の人物たちの間で報連相がなってないことです。
     これは、そうですね。自分でもランバークのことについては、「エルザ、お前教えてやれよ。主人公、お前なんで聞かないの?」と思いました。一応、これの返しはEpisode.4-9の終わりで話しているのですが、「そこからは何度聞いても「行けば分かる」としか答えてくれなかった」みたいな一言を添えておくべきだったと思います。

    >「名前のない英雄」について。
     これは申し訳ないですが、ネタバレになるのでほぼ説明することができません。分かりにくいですが例をあげて説明すると、ドラゴン〇ールで魔人〇ウが地球人に恐怖を与えてしまったため、〇ウと一緒に暮らすために神龍にお願いして、地球人の記憶から〇ウに関する記憶を消してもらったことがあります。例えるならこれの逆で、〇ウの恐怖に関する記憶は残ったまま「〇ウ」という名前(固有名詞)だけが地球から消えてしまった感じです。置き換えますと、「名前のない英雄」の功績については消されなかったものの、名前(存在)だけが欠落してしまっているという感じになります。
     それと名前を付ける付けないは別の話だというのは分かりますが、一言で言うと「名前のない英雄」という固有名詞が浸透してしまったみたいな感じです。これもいずれ明かされはしますが、多分この作品の核心に迫ることなので、この場では例による説明だけとさせて下さい。

    >エルザが村に残る流れについて。
     すみません。これは自分でもかなり苦しい言い訳が多々発生します。これは後述の
    >グレイを置いていくことについて。
     にも関わってくるのですが、元々は三人(二人と一匹)でドラバーンに行く予定でした。ですがそれだとずーーーーーっと変わらずに同じメンバーで旅をすることになり、面白みに欠けるため、二人を除外することにしました。最初はグレイだけを置いていく予定でしたが、罪人(盗賊)の村ということもあり、グレイを置いていくことになったら主人公がいい顔をしないなと思いました。そのため、エルザも留守番をさせることにしました。勿論、エルザの性格上そんなことでは納得しません。エルザがランバークに残った理由については、後々語られることになります。また、ネタバレでもなんでもなく読んでいて分かりますが、イーマは本質的にエルザの強さを見抜いており、その強さがランバークを消し去るだけの強さを有していることまで理解できています(「ランバークの安全は保障してくれるんだろうな」という言葉から)。その相手が村に残るということは、実質的にレオン以上の存在が村にいることになり、化物からの村の安全は約束されるわけです。レオンがもし鋏を持った動物に殺されていたとしたらランバークは滅びていた可能性もあります。真意が分からないということに不気味さは感じますが、多少リスクを冒してでも力を得る必要があったのではないかと思い、このような取引をした、と考えます。
     グレイについては国境を超える際に一度悩んだ描写を挟みはしています。。。そしてこれは結果論になりますが、元々は三人でドラバーンに行く予定だったこともあり、三人揃って入国させてしまった感じです。その後どうしようか悩んだ挙句、エルザも想定外だった、グレイが「他国の気候に適応しきれず怪我を負ってしまった」という言い訳を挟んで二人一緒にランバークに残らせることにしました。勿論ランバークまでの道中はグレイも大活躍しているので、連れてきて全く無駄だったというわけではありません。(という言い訳です)

     大体がこんな感じになります。Episode.4はまだまだ終わる見込みもないため早く続きを書かねばと思っています。最近活字と触れ合う機会がほぼなく、執筆に向かっても頭が冴えないのが悩みです。

     寒くなってきました。あじさい様も寒さには気を付けて、良いお年をお迎えくださいませ。いつもありがとうございます。

    編集済