Ⅶ 屋しきの中で おじょうさま登場

「ミリモンつかれてるー。どしたー?」

「……いや、ちょっとね……」


 こんなような会話をボーッとしながらミリモンとよーせーくんは歩いていた。

 だから気づかなかったのだ。

 かいだんを一つまちがえたことを……


 そのころ。屋しきのマコがいるところから上、上、上、上、そして上、上、上、上、またまた上くらいのところにひとりの女の子がたくさんの大人にかこまれておしゃれをしていた。としはマコと同じ、12、13くらいだろうか。


「おじょうさま、こんな感じでいかがでございましょうか」

「だめよ」


 たいどやようすからして、この女の子は屋しきのおじょうさまらしい。

 それにしても、こんな会話をもう何十回くりかえしたことか……

 周りにいる人たちはみなはぁとためいきをついた。


 その時、ドアがキィとなってドレスを着た女の人が入って来た。

 おじょうさま以外は全ての者がひざまずく。


「レプカの準備はできた?」

「申し訳ございません、おくさま。まだでございます」

「もう、だめねぇ。

 レプカ、これなんかどうかしら?」


 そう言っておくさまらしき女の人はきみどりのドレスを出した。


「ほら、これなんかどう?」

「わー、可愛い!

 やっぱり母様はセンスいいわ!」


 この組み合わせは何度もやったのに……と何人の人が思ったことか。


「いい、わかってると思うけど今日はクリスタル・フェーバの国王とユキ姫が来るのよ。成功したらわがカプチーノ家の名は世に知られ、そして失敗したら…」


 ここでみながつばをごくりと飲んだ。


「カプチーノ家はほうかいよ」




 そしてそれから数時間後。


「……で……なんですよぉ!」

「まぁ! なんとひどい。わたくしは、その者のことを神にちかって許しませんわ」


(レプカはじゅんちょう……ユキ姫のきげんはかなりいいわ。そして、国王も気分が良い。このままいけば……成功よ!)


 しかし、その時思いもかけないことがおこった。


「ちょっとお茶を入れて来ますわ」


 そう言ってレプカが立ちあがって、おくの方へ行った。

 その時――



「きゃぁぁぁぁぁぁっ! 化け物よ! だれかー!」



「え、え、え? ここどこ?」

「しーらない~。ミリモンはー?」


 おくさまのレナカはすぐにレプカの方へ行って、レプカを落ちつかせるのと、国王とユキにあやまるのをくりかえしていた。




 もちろん、けっかは「失敗」だった。

 ほめてもらえるどころか、さんざん怒られてしまった。


「だれよ……わたしの未来をめちゃくちゃにした奴は……」


 そしてレナカはつぶやいた。わらって。



「ころしてやる」

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