Ⅱ 山をおりて(1)

 ミリモンとよーせーくんは、いっしょに山を下っていた。



(よーせーくんがついてきてくれるのはうれしいけど……)


 ミリモンはふうと息を吐くと、又考えごとをした。


(食費とかは、どうするの? 宿は? それに、さがしに行くって言ったって世界は広いんだから……)


 今度ははぁ、と息を吐くとよーせーくんの方を向いた。おなかがきゅーと鳴った。



「……おなかすかない?」

「おなかすくって?」

「何か食べたくなること。」

「たべるって?」

「おなかのなかに食べ物を入れること。」

「よくわかんなーい!」

「実際にやってみた方が早いね……」


 そう言うとミリモンは何かのジュースを取り出した。「そーだ!!」と書いてある。


「これと……」


 そう言ってミリモンはキスパを取り出した。万が一の時のために持っておくようお向かいのワンロに言われていたのだ。


「はい。これよーせーくんの分」


 ミリモンはキスパを平等に等分した。ソーダは二本あるので大丈夫だ。


「はい、これよーせーくんの」

「何すればいい?」

「食べればいい」

「どうやってたべるかわかんない」

「本能でわかるよ」

「ほんのーって?」

「説明してると長くなるから、あとでね」


 その後しばらく沈黙がつづいた。

 しかしその沈黙をいきなりやぶったよーせーくんの一言……


「そーだ!!」

「わわっ、いきなり何?」

「そーだ、そーだ、そだそーだっ!」

「意味わかんないよっ!」

「そーだうまーい!

「気に入った?」

「うん!」

「それなら安いからいいよ、100ベル(1ベル=1円 100円)だし」

「ほんと?」

「ほんと」

「やったー!」

「何ならぼくのもあげよっか?」

「もらう~!」



 こうして、ほのぼのとした昼食の時間は過ぎていった。

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