3 不思議なユナ
「・・・であって、その結果ここは・・・」
先生の授業は始まったばかり。
殆どの者が、手紙を回したり喋っている中、ユナだけは真面目に授業を受けていた。
いつもは。
今日のユナは、どこか変だった。首をかしげてみたり、手を広げてみたり、時にはくすくす笑ったり。
普段には無い表情、仕草、口まで喋っている様に動いている。
「やだ・・・何してんの」
ユナの隣の女子は、小声で呟いた。
しかし授業が進むにつれユナは笑わなくなり、代わりに口だけよく動く様になった。
そして最後には、切ない顔で笑い、自嘲するように手を振った。
その時、チャイムが鳴った。
「ユーナちゃん!」
ミキがユナに近づく。しかし、珍しくユナは席を立った。
「ユナちゃん!行くとこなんて無いでしょ?」
ミキはユナに叫んだ。ユナは歩きつづける。
「ユナッ!」
強く叫び、ユナを揺さぶる。それでもユナは、止まらない。
「あんたっ・・・」
ミキが何かを言いかけた時、ユナはそれを手で制した。瞳は、いつもは無い強気の光が浮かんでいた。
ミキの表情は、たちまち変わった。
「何よ、ユナ・・・反抗する気?」
ユナはミキを放り、さっさと教室を出た。
「・・・ムカつく」
ミキは呟いた。
「ミサト、チカ。ゴメン、私ちょっとユナ追っかける」
「一人でぇ?平気ぃ?」
「あんな奴平気に決まってんじゃん」
そう言い残すと、ミキはダッと走り、ユナを追い始めた。
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