1 虐め

教室のドアが、ガラガラ、と音をたて開く。


明るく賑やかだった教室は、別のざわめきに包まれた。


「キモッ。キモいのが来た~」


「やだぁー、あたし席隣なの~!菌が移る~」


「帰れよー」


顔を大袈裟にしかめる者。暴言を吐く者。ひそひそと話しながら、教室から出て行く者もいた。


そんな中、三人の女子が彼女へ近づいて行った。ニヤニヤと笑っている。


「おはよー、ユナちゃん。」


「コイツに『おはよう』なんてわかんの?」


「っはー、言えてる!」


ユナという名の彼女は、笑顔で三人を見る。


「うわっ、キモッ!」


「笑ってるよ~」


「最悪~。死んじゃっていいよ!」


ユナは、ただそれを黙って聞いていた。


近くで女群がひそひそと話す。


「ユナってさぁー、ミキの事虐めたんでしょ?」


「うっわ、かわいそー。」


「それにさぁ、ユナって言葉わかってんの? いつも笑ってて、キモい。」


「返事もしないしね・・・何考えてんのか、謎じゃん。」


「だよねー!同感。」


授業開始のチャイムが鳴るまで、それは続いた。

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