意味なんて、求めはじめたら止まらない。

 日記です。

 書きながら、考えました。



 私にとって、書くことはもはや生きることである。

 もしいま書くすべをうしなったら、私はどうしていいかわからなくなるだろうし、生きてる、と感じることがかなわなくなると思う。 

 生きてる、と私が感じるのはたぶんふたつの状況においてのみで、そのひとつが書いてるときなのだ。


 生きてゆくには書かねばならない。


 しかしたまに、その意味がわからなくなってしまう。

 書く意味が、わからなくなってしまう。

 そういうとき、世界は冗談みたいに色を変える。

 そのときは、立ち尽くすしかなすすべがない。


 そしてたぶん、それはいま。


 夢だからとか向いてるからとか、そういう耳ざわりのいい言葉でいくらでも説明できるのかもしれない。でもそれは私にとっておそらくコーティングに過ぎない。甘くて薄いチョコレートで、からっぽな空気をコーティングするみたいなものだ。

 だって書く意味なんてわからない。なんのために書いてるかなんて説明つかない。ひとは書かなくても生存してゆける。書くって行為はそれ自体が根気のいるものだし、いつでも楽しいってわけじゃもちろんない。私はどちらかと言えば飽きっぽいほうだし、あんまりつらいことは苦手であるはずだ。なのにどうして、私は書かねば生きてゆけないのだろう。どんなに悩んでも、なぜか、このことだけは事実として揺らぐことがないのだ。生きてゆくには書かねばならない。でも、その理由がわからない。意味がわからない。「生きてゆくには書かねばならない」というこの文章が、なにを、意味してるのか、もはやわからない。


 でもいま、ひとつだけわかったことがある。

 それはたぶん、私は書くしかできないってこと。


 言ってしまえば、私は駄目人間だと思う。学校に毎日行くという当たり前であるはずのこともうまくできなかったし、いろんなひとといろんな問題を起こしたし、平気で昼夜逆転するし、決心してはじめたバイトも、ああ私は社会に出られないって言うか出たくない……という結論を得て辞めただけだった。

 はっきり言って学校も社会も楽しくないし、理由も意味もわからない。じゃあなんで学校に在籍してるんだよ社会に所属してんだよ、ってお叱りの声がいくらでも飛んできそうだけど、自分でも飛ばしてしまいそうだけど、いやでもしかしそこをあえてどうにかねじ伏せると、やはり学校も社会も楽しくないし理由も意味もわからない。

 学校に行く意味がわからなかった。だから行かなかった。働く意味がわからなくなった。だからバイトを辞めた。もう、ほんとに、こんなんなのだ私の思考回路はぶっちゃけてしまうと。

 楽しいとか理由とか意味とかそういう問題じゃない、とも言われてしまいそう。社会に出るっていうのは社会の一員として義務なんだ、そろそろ社会人になる年なんだからもっとちゃんとしろ、と。その通りなのかもしれない、それが正しいのかもしれない。でもとりあえず社会に出なくても私は生きることができる。きのうときょうとそしてあした、社会に出ないで困ることはなんらない。それに、社会人とか義務とかって言葉はざらついていて私は嫌いだ。ああ正しいって偉いんだねえ、と醒めた気持ちで思ってしまう。

 まあ、つまり、駄目人間なのだ。そのことをどうにか自覚する程度にはなった。社会適応能力、みたいなものがなさすぎる。努力が足りないのかもしれないけれどもはや努力する気もない。社会からすればきっとすくいがたい、私はほとんどニートなのだと思う。


 でも、書きたいとは、思う。

 書くためならばそしてそれを読んでもらうためならば、いくらでも時間をつかうし努力ってことも必要ならばするしいっそ社会に出てもいい、いやむしろ小説家というかたちであるならば喜び勇んで社会に出たいと思っている。

 逆に言えば、書きたい、としか思わない。書くほかに、やりたいことなどなにもない。書くしかないってことはもうわかっている。なんでだかわからないけど、もう、それはわかっている。

 書くために生きてるって言ってもたぶんいまの私は過言ではない。


 書くことだけは、楽しさも理由も意味も求めずにいられる。

 それが私の唯一のすくいであるのだと、思う。


 ……こうやってつらつら言ってるうちに、ああ、また書こうという気が起きてきた。

 およそ一時間の休息。まあこのくらい、まったくもってありだよね。


 でもいずれは、楽しさも理由も意味も見つけるのかもしれないね。

 それは私のなかで、確信めいた予感である。


 書くしかないから、書く。たぶん、私には、それしかない。

 なんでかなんてわからないけど、まあ当分、戸惑ってればいいんじゃない。



(とりあえず、書、の字がゲシュタルト崩壊中ないま。)

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